さっぱり飲みやすい!「こうじ水」で腸内環境を整えよう

複雑な温度管理もなく、米こうじとミネラルウォーターだけで簡単に作れる「こうじ水」。ほんのり甘く、さっぱりした味わいが特徴です。低カロリーで毎日続けやすく、たくさんの健康・美容効果が期待できます。星子クリニック院長の星子尚美先生にこうじ水の魅力について、伺いました。

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星子尚美

星子尚美

ほしこ・なおみ

星子クリニック院長。予防医学の観点からカウンセリングを重視した医療を行う。2018年に『こうじ水で体すっきり!ずっと健康!』(宝島社)を出版。

ここ数年そのパワーが話題になっている「こうじ」。しかし、そのまま食べられるものではないため、いろいろな調理が必要になります。そんな中、手軽に始められるのが「こうじ水」です。

「必要な材料は、文字通り『こうじ』と『水』だけ。こうじのほんのりとした甘みが水に移っていて、さっぱりとした飲みやすい口当たりです。こうじに含まれる多くの栄養素が溶け込んでおり、手軽にこうじの栄養を取ることができますよ」。そう教えてくれたのは、予防医学の観点からカウンセリングを重視した医療を行う、星子クリニック院長の星子尚美先生。

そもそも、こうじはどんなものか改めて教えてもらいましょう。

「こうじは、食品発酵に有効なカビを中心とした微生物を繁殖させたもので、さまざまな種類があります。代表的な『黄こうじ』に含まれる『ニホンコウジカビ』はアスペルギルス・オリゼという学名。これは日本醸造学会により、日本の国菌と認定されています。こうじの最古の利用の記録は奈良時代で、日本では古くから味噌作りや酒造りに利用され、経験的に健康によいことが知られていました」(以下、星子先生)

ちなみに、米にこうじ菌を繁殖させたものが「米こうじ」。その他の穀物にこうじ菌を繁殖させた「麦こうじ」や「豆こうじ」もあります。こうじ水に使うのは米こうじです。

米こうじは「生こうじ」と「乾燥こうじ」の2種類のタイプが販売されています。生こうじは発酵させた、そのままのこうじのこと。一般的には酵素を出す作用が強いとされていますが、水分を含むため、雑菌に弱いという特徴があります。今は、水分を飛ばした日持ちのする乾燥こうじもスーパーなどで購入できます。こうじ水を作るのは、生タイプ・乾燥タイプのどちらでも構いません。手に入りやすいものを利用してみましょう。

米こうじから出る酵素は、細かく分類すると30種類以上。いずれも、からだによい影響を及ぼすと考えらえています。酵素によって生み出されるオリゴ糖はビフィズス菌を増やし、腸内環境を整えます。

「米こうじは繁殖するときに、炭水化物、タンパク質、脂質を分解する酵素を出します。アミラーゼ群の酵素によって、炭水化物が糖に分解されます。そうすると、血糖値の上昇が緩やかになったり、腸内の善玉菌を増やしたりする働きがあります。プロアテーゼ群の働きによって、タンパク質はアミノ酸に分解されますが、それにより老化予防や疲労回復の効果が期待できます。さらに脂質を脂肪酸に分解するのがリパーゼ群。中性脂肪やコレステロール値を低下させる働きがあると言われています」

さらに代謝を高めるビタミンB群や、腸内環境の改善に役に立つ水溶性・不溶性食物繊維も含まれているとのことで、美容や健康に気を使っている方にオススメだそうです。

それでは、保存も楽チンな乾燥米こうじを使って、こうじ水を作ってみましょう。

  • ・ミネラルウォーター  500ml
  • ・乾燥米こうじ  50〜70g
  • ・こうじ水を作るポット
  • ・保存用のボトル
  • ・お茶パック(不織布などでできているもの)
  • ・温度計
保存用のボトル,お茶パック(不織布などでできているもの),温度計

① 乾燥米こうじをお茶パックにいれる(板状のこうじは、ほぐす)。

② こうじ水を作るポットに①を入れて、50〜60℃に温めたミネラルウォーターを注ぐ。

③ 密閉せず、軽くフタをのせて1時間ほど冷ます(冬場は1〜3時間ほどおいてもよい)。

④ 温度が下がったことを確認したら、ポットを冷蔵庫で7時間以上寝かせる。

⑤ パックを取り出し、保存用のボトルにこうじ水を移し替える。保冷できないボトルの場合、保存は冷蔵庫で行う。

こうじ水は、雑菌の繁殖を防ぐためにコップに注いでから飲むようにしましょう。また、作ったこうじ水は24時間以内に飲み切るのがベストです。

最初の温度管理を行えば、簡単に作ることができるこうじ水。とはいえ、見えない菌を扱うからこそ注意点はあるのでしょうか?

「清潔な道具を用意するようにしてください。水道水には塩素などの殺菌成分が入っているので、ミネラルウォーターをオススメしています。アルカリイオン水の中ではこうじ菌が増殖できないので避けましょう。乾燥こうじではなく、生こうじで作る場合は、常温のミネラルウォーターでOKです」

また、こうじ水が黄色くなったり、酸味を感じたりしたら、要注意です。

「60℃のお湯を室温で1時間置くと、30℃ぐらいになります。それ以降では、雑菌が増えてきてしまうので、冷蔵庫に寝かせましょう。もし、違和感を感じるほどの強い酸味を感じるようになったら、飲まないようにしてください」

そして、ちょっぴりうれしいのが、こうじが入ったパックは繰り返し2回使えるということ。

「雑菌の繁殖を防ぐため、取り出す際は素手では触らず水分を絞り、ラップや清潔なポリ袋で包んで冷蔵庫で保存してください。なるべくその日のうちに使いましょう。2回目を作る場合も、1回目と同じ手順で行えます」

一度に500ml程度ができるこうじ水。1日にどのくらい飲んだらいいのでしょうか?

「1日に飲むのは500mlが目安です。一度に飲むとお腹が緩くなることもあるので、こまめに分けるといいでしょう。生活スタイルに合わせて、朝晩に分けてもいいですね。保冷できるボトルに入れれば、雑菌の繁殖を避けながら、オフィスに持っていくこともできますよ」

そのまま、水替わりに飲んでもおいしいこうじ水ですが、同量の炭酸水と割ってハチミツや生姜を絞ったり、冷え込んだ夜には温めてミルクココアなどに混ぜたりアレンジしても◎。ただし、温める場合は、70℃以上になると酵素が失われてしまうので気を付けてください。

また、残ったこうじをスープなどの加熱料理にプラスすれば、酵素のパワーは失われますが、ビタミンB群や食物繊維を摂取することができます。余すところなく、こうじのパワーを取り入れるようにしましょう。

さらに、こうじ水は飲むだけでなく、化粧水代わりに使ってもよいそうです。

「こうじを扱う酒蔵の杜氏さんの肌が美しいのは経験的に知られていました。これはこうじの中の『コウジ酸』という成分がメラニンを生成するチロシナーゼという酵素を抑制する働きからくるものと考えられています。こうじ水を手に取って、肌に塗れば化粧水になります。2回目のこうじ水を作り終わったパックをお風呂の入浴剤として利用するのもオススメですよ」

これらの利用方法でも、雑菌の繁殖は禁物です。その日に作ったこうじ水を利用し、常温で放置することのないようにしましょう。

こうじのパワーを、手軽に毎日の生活に取り入れることができるこうじ水。甘酒の甘さやカロリーが気になる方でも飲むことができます。また、残ったこうじの利用方法があるのもうれしいですね。こうじ水を飲んで、腸内環境のバランスを整えてみませんか。

編集:ノオト

田中いつき

田中いつき

たなかいつき

東京農業大学卒業後、自然体験活動に従事。2014年よりフリーランスライターに。ライフスタイル、エンタメ、レシピ作成記事などを執筆。自然環境、農林業、環境問題に明るい。好きなもの:散歩、コーヒー、アイス、チョコ。

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