梅干しの可能性は無限大!今井真実さんの「ココナッツ梅チキンカレー」
梅を愛し愛される料理家・今井真実さんに梅しごとの魅力を伺いつつ、梅干しを使ったカレーのレシピを教わりました。
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今井真実
いまい・まみ
料理家。毎日ごはんを作る人が嬉しくなる「新しい家庭料理」を提案する。雑誌、WEBメディア、広告などでレシピ考案、スタイリングを担当。「3度の飯よりお肉好き!」で、キャンプで焚き火をしながら塊肉を焼くのが一番のストレス解消法。著書に『毎日のあたらしい料理 いつもの食材に「驚き」をひとさじ』(KADOKAWA)『今井真実のときめく梅しごと』(左右社)がある。
X:@mamiimai_gohan
初夏は梅の実が旬をむかえる季節。梅干しや梅酒、梅シロップなどを仕込む「梅しごと」に憧れを抱きつつも、「準備が大変そう」「ちゃんと作れるのか心配……」と、ハードルの高さを感じてしまいます。
そんなお悩みをポロッと打ち明けてみたところ、生梅をさっと手渡しながら、「梅って、すっごくかわいいんですよ!」と笑顔で語り始めた今井さん。
赤ちゃんみたいな産毛が生えていて、手触りがめちゃくちゃかわいいでしょう? 熟すと赤みが増してきて、そのやわらかな色合いもめっちゃかわいいんですよ。桃のような香りもたまらなくて……。
初夏になると、梅を入れている袋に顔を突っ込んで、香りを嗅いではうっとりしています。これこそが梅しごとをする人のみが得られる特権。この魅力を知ったからには梅しごとをせずにはいられません。
確かに今井さんに渡された生梅は、手触りも色合いも香りもかわいい! それでも、やっぱり初心者にとって梅しごとは難しそうなイメージがあります。
みなさんそうおっしゃるんですよね。とくに梅干しはカビなどの心配があって怖いって。そんな方は、まずは少量で作ってみるといいですよ。
たとえばスーパーで500gの生梅を買うと、入っているのは15個くらい。その生梅が完熟したらジッパー付きの保存袋に塩と一緒に入れて2週間〜1か月ほど漬けて、晴れた日に干せばOK。もちろん、洗ったりヘタを取ったりと梅の下ごしらえは必要ですが、やってみると意外と簡単で驚きますよ。
子どもの頃から梅が大好きで、20年以上前に梅しごとをするようになった今井さん。料理家になった今では、約60種類もの梅レシピを盛り込んだ書籍『今井真実のときめく梅しごと』(左右社)を発表するほど、梅愛は止まりません。
海外のシェフに梅の本を出したことを話したら、「クレイジー」だって(笑)。あまりにも私が梅を好きなものだから、仲良しの料理家さんに「今井うめ」に改名したほうがいいんじゃない?と提案をされたこともあります(笑)。
そんな今井真実さん改め、今井うめさんは、普段からいつもの料理に梅干しを加えて楽しんでいるそう。
うどんや味噌汁、トマトソースにそのまま入れたり、叩いた梅干しをサラダのドレッシングにしたり、醤油に加えてお刺身を食べるのもおいしい。レモンでできることは梅でもだいたいできちゃうんですよ! バナナと一緒にバターで炒めてもおいしいですし和洋中の料理にアレンジ使いできて、梅干しの可能性は無限大ですね。
梅干しのレシピだけでも100個以上レパートリーがあるという今井さん。その中から今回教えていただくのは「ココナッツ梅チキンカレー」。“カレーに梅?”と頭をよぎりますが、今井さんは10年以上前からこの組み合わせの妙に惹かれているといいます。
南インド料理の酸味づけに欠かせない「タマリンド」というスパイスと梅干しは、味わいが似ているんです。 しかも梅干しは酸味に加えて、塩味やフルーティーさも感じられてよりおいしい! 子どもから大人まで楽しめると思いますよ。うちの8歳の息子もぱくぱく食べていました。
- 【A】
- 鶏もも肉(唐揚げ用)…400g
- トマト(ヘタを取り4等分に切る)…1個
- にんにく(すりおろし)…3片
- オクラ(上のへたを切り落とす)…5本
- しめじ(石づきを取りほぐす)…1パック(約150g)
- カットかぼちゃ(皮を適当に切り落とし5cm角に切る)…200g
- ココナッツミルク…400ml
- 水…1カップ
- 塩…小さじ1
- 【B】
- カレーパウダー…小さじ3
- 梅干し…2個
このレシピには、昔ながらの酸っぱくてしょっぱい梅干しを使うのがおすすめです。もし手元にある梅干しが塩分控えめの場合には、味をみながら塩の量を調整してみてくださいね。
オクラはヘタを切り落とすだけでOK。
カボチャは皮を削ぎ切りにすると、煮崩れしにくくなる。
(1)【A】をすべて鍋に入れる。
(2)中火で沸騰させて、鍋の中をざっとひと混ぜしたらフタをして、弱火に切り替えて20分煮る。
(3)カボチャが柔らかくなり、鶏肉に火が通ったら火を止めて【B】を入れる。
(4)再度中火で沸騰させ、炊いたごはんにかける。
具材を鍋に入れてから30分弱、わずかな手順でスルッと完成した「ココナッツ梅チキンカレー」。カレーの香りがふんわりと漂い食欲を大いに刺激されますが、いよいよ実食の時間です。さぁさぁさぁ! 今井さん、今回のお味はいかがでしょうか?
今日も梅干しがいい仕事をしてますね。ココナッツミルクを使ったカレーってまったりしがちですが、梅干しの塩味や酸味、フルーティーさがそれをキュッと引き締めていて、最後まで飽きずに食べられます。にんにくも効いていて、すっごくおいしいです!
スパイシーな味わいに梅干しの酸味が加わり、夏にもぴったり。材料も工程もシンプルで簡単。梅干しの可能性を感じつつ、暑い季節こそ「ココナッツ梅チキンカレー」をぜひ!
撮影:今井裕治
編集:ノオト
船橋 麻貴
ふなばし・まき
雑誌やWEB、広告などで執筆中。生涯の目標に締切厳守を掲げるものの、いろいろ遅れがちな人生。特技は暴飲暴食と思いつき旅。焼き菓子&パン1年生。
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