スープジャーで世界一周 -滋養たっぷりソルロンタン(韓国)-
忙しい毎日。朝起きて、家事や仕事に追われるうちに、気がつけばもう夕方。 どこか遠くへ旅に出たい! なんて思う日もありますが、残念ながらそう簡単に飛び出すわけにはいきません。 それならせめて気持ちだけでも広い世界を味わいたいもの。 ここでは世界各国のスープ料理を、その国の魅力やマメ知識と共にご紹介します。 スープジャーに世界中のスープ料理を閉じ込めて、旅してみませんか?
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日本で新学期の始まりといえば4月ですが、世界を見渡すとスタート時期はさまざま。おとなりの韓国では3月に始まるのが一般的のようです。今回取り上げるのは、春先の新生活を応援してくれるような滋養たっぷりのスープ、ソルロンタンです。ここでは「ソルロンタン風」にアレンジした簡単レシピをご紹介します。
韓国の冬は、シベリア上空の冷気が海を通らずそのまま流れ込むため、厳しく冷え込みます。床暖房「オンドル」や、ボア素材の防寒靴下「ポソン」など、韓国式の暖をとる道具や知恵もたくさんありますが、それにしても昼間でも氷点下となる真冬の寒さは堪えます。
そのぶん、春の喜びはひとしお! 3月になると、韓国各地で春の訪れを祝う花祭りが始まります。
花祭りのスタートを切るのは梅の花です。
韓国南部の全羅南道(チョルラナムド)にある光陽(クァンヤン)市で開かれる「光陽梅花祭り」はとりわけ有名で、満開の紅梅白梅が高らかに春の訪れを告げます。
また、梅と並んで喜ばれる花が山茱萸(サンシュユ)です。日本でも庭木として好まれる山茱萸。秋に実る赤い実は、漢方の生薬にもなります。春先に咲く花は鮮やかな黄色で、咲き誇る花々は陽光のよう。なかでも全羅南道の求礼(クレ)群で催される「求礼山茱萸花祭り」は、黄金色に染まった智異山(チリサン)に人々が集います。
鮮やかで美しいのは花だけではありません。
お釈迦様の誕生日とされる旧暦4月8日には、燃灯祝祭(ヨンドゥチュッチェ)と呼ばれるお祭りが催されます。
この日が近づくとソウル市内には色とりどりの提灯が飾られ、街中がほのぼのとした灯りに包まれるのです。祭りの夜には提灯を携えた人々が練り歩く、「燃灯行列」が見られます。
日本の和菓子と同じように韓国の人々の暮らしとともにあるのが、韓菓(ハングァ)と呼ばれる韓国伝統のお菓子です。
可愛らしい見た目はお花見のお供にもぴったり。また、旧正月や秋夕(チュソク=旧盆)、婚礼などの贈り物にはこの韓菓の詰め合わせが欠かせないといいます。
そんな韓国料理で定番のスープのひとつが、牛肉の骨や肉をじっくり煮出して作るソルロンタン。
硬い肉や食べるところのない骨も捨てずに使えるため、古くから庶民の食卓にのぼってきました。現在でも街の至るところにソルロンタンを出すチェーン店があり、手軽でおいしいソウルフードとして親しまれています。
この料理の特徴は、骨から取った旨みが溶け出した、白濁したスープです。しかし牛の骨は手に入りにくいうえ、ダシが出るまでには長時間、煮込まなければなりません。
- 牛肉(焼肉用) 80g
- 香味野菜
- 長ねぎ(青い部分) 1/2本分
- 生姜 1片
- にんにく 1片
- 水 500ml
- 牛だしの素
(なければ鶏ガラスープの素) ひとつまみ - 牛乳 小さじ2
- 塩 少々
- 万能ねぎ お好みで
スープジャーに熱湯(分量外)を入れ、フタをしないで5分以上保温する。
1. 香味野菜の長ねぎはぶつ切り、生姜は皮付きのまま薄切りにし、にんにくは皮をむいて半分に切る。万能ねぎは小口切りにする。
2. 鍋に分量の水と牛肉、切った香味野菜、だしの素を入れ中火にかける。沸騰したら弱火にしてフタをし、時々アクと脂を除きながら牛肉が柔らかくなるまで1時間ほど煮る。
3. 香味野菜を取り除き、牛乳を加えて塩で味を整える。
4. スープジャーに入れ、万能ねぎを散らして完成。
※保温後は6時間以内に一度にお召し上がりください。
ライター:松下梨花子
編集:オフィス福永
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