フライパンひとつで作れる! 豚肉とえび、冬野菜の彩りパエリア
スペイン生まれの華やかな米料理「パエリア」。スーパーで手に入る食材といつものフライパンで楽しむ方法を、料理家のいづいさちこさんに教えてもらいました。
この記事をシェアする
いづいさちこ
料理家。料理教室「くにたちの食卓 いづい」主宰。静岡県生まれ。オーガニックレストラン、懐石料理店、パン屋さん、料理教室のインストラクターなどの経験を経て、2004年夏より自宅で料理教室を始める。3児の母。おもな著書に『9つの調味料&スパイスがあなたの料理を変える』(誠文堂新光社)、『春夏秋冬 季節の焼き菓子とスイーツ』(立東舎)などがある。
Instagram:@kunitachinoshokutaku_izui
米、魚介、肉、野菜などをオリーブオイルで炒めてスープで炊き上げる、スペイン・バレンシア地方の料理「パエリア」。
一度は挑戦してみたいけど、なんだか難しそう……。そんなふうに感じていたのですが、家庭用のアレンジを加えれば、フライパンひとつで気軽に楽しむことができるのだそう。レシピを教えてもらうため、料理家のいづいさちこさんの元を訪ねました。
今日は、パーティーだけでなく普段の晩ごはんにもぴったりなパエリアのレシピをお教えしますね。このレシピのポイントは「みそ」と「ナンプラー」を使うこと! けれど、食べた時には、みその味もナンプラーの味もしないんです。
どんな味わいになるのか、まったく想像がつきません。ぜひ詳しく教えてください!
- 米 2合
- えび 8尾
- 豚肩ロースブロック 200g
- 玉ねぎみじん切り 150g
- ブロッコリー 50g
- カリフラワー 50g
- ミニトマト 8個
- レモン 1/2個分
- にんにく 1かけ
- イタリアンパセリ 4~5本
- 塩 適量
- 清酒 適量
- オリーブオイル 適量
- 【A】
- トマトペースト 大さじ1/2
- みそ 大さじ1/2
- ナンプラー 大さじ1
- 水 320〜400ml
パエリアのごはんは、日本のもっちりとしたごはんに比べると、かなり固めの仕上がりになります。内側に芯が残っているくらい。アルデンテなんですよ。
お水の分量は、各自の好みで調整してみてください。アルデンテの状態が好きという方は320ml、もう少しやわらかい方が好きな方は400ml入れるのをおすすめします。
玉ねぎのみじん切りにはコツがあります。縦・横それぞれに切り込みを入れて、刻んでいく方法がよく知られていますが、横に切り込みを入れなくても作れるんですよ。パエリアを作る前に簡単な方法を伝授しますね。
【1】玉ねぎを端から縦になるべく薄くスライスしていく。
【2】薄くスライスした玉ねぎを3等分して横に置き、1セットずつ端から細かく刻む。
【3】粒の大きさを整えるように全体を刻む。
【1】えびの殻をむき、塩と酒をまぶしたあと、楊枝で丸くなるようにとめる。豚肉は一口大にカットして少々の塩と酒をまぶす。
えびは、殻がない方が食べやすいので、調理の時点でむいちゃいます。まぶすお酒は、塩が添加されている料理酒よりも、お米だけで作られた清酒がおすすめ。カップ酒などの廉価なものでも大丈夫です。素材のうまみをぐっと引き出してくれるんですよ。
パエリアというと魚介のイメージが強いかもしれませんが、山の幸と海の幸、両方のエキスを取り入れると、うまみの幅がぐっと広がります。今日はえびと豚肉を使っていますが、あさりや鶏肉などを使っても! その時々で好きな具材を合わせてみてださいね。
【2】ブロッコリー、カリフラワーは小房に切分ける。ミニトマトは半分、レモンは8等分に切り分ける。イタリアンパセリも刻んでおく。
レモンはほかの具材と同様、パエリア全体に散りばめたいので、小さめにカットします。果芯の部分をカットしておくと、絞りやすくなるんですよ。
イタリアンパセリは実はすごく使い勝手のよいハーブ。パエリアに入れると味がぐっと引き締まるんです。クセが強くないので、マリネに入れたり、サラダに混ぜたりと、あらゆる料理によく合います。冷蔵庫保管の際は、少し水をかけておくと長持ちしますよ。
【3】フライパンに油を入れ、豚肉をさっと炒めて、取り出す。同じフライパンでえびをさっと炒め、取り出し、楊枝を外す。
最初の工程からずっとフライパンを洗わずに使い続けることも、パエリア作りのポイントのひとつ。豚肉やえびを焼いたときに出たエキスもそのまま使います!
【4】3のフライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、弱火にかける。香りがしてきたら、玉ねぎをしんなりするまで炒める。そこに米を入れ、全体を混ぜ合わせるように炒める。
お米は研がずにそのまま入れましょう。研いで水分を含んだお米はアルデンテの食感になりにくいため、乾いた状態で入れるのが大切です!
【5】3の豚肉、混ぜ合わせた【A】、塩を加え、フタをして弱火で10分ほど煮る。
トマト缶ではなくトマトペーストを使うのは、ペーストの方がうまみ成分がぎゅっと濃縮されているから。トマトの味をつけるのではなくて、うまみやコクを料理に足すために入れています。
トマトペーストってあまり馴染みがないかもしれませんが、実はいろいろ使えるんですよ。パスタのソースやスープに入れるのはもちろん、カレーに入れてもおいしいんです。カルディなどに売っているチューブタイプのものが使いやすくて気に入っています。
【6】煮汁がまだ少し残っている状態でブロッコリーとカリフラワー、火を通したえびを加え、再びフタをして煮汁がなくなるまで煮る。
【7】カットしたミニトマトとレモンを散らす。仕上げにオリーブオイルを回しがけ、最後にイタリアンパセリを散らす。
オリーブオイルは、香り高いエクストラバージンをかけるのがおすすめ。イタリアンパセリは、食卓に出す直前に散らした方が、シャキッと鮮やかに見えます。
完成したパエリアは、緑、赤、黄色、白、茶、オレンジなど、彩りが盛り沢山でとっても華やか。早速試食していきましょう。
アイオリソースは、2:1の割合のマヨネーズと牛乳、すりおろしにんにく少々を混ぜ合わせて作っています。これを添えると、パエリアがさらにおいしくなるんです。
まずはいづいさんから。今日のお味はいかがでしょう……?
今日もおいしく仕上がりました!
続いて筆者も実食してみたところ、うまみのたっぷりさに思わずにんまりしてしまいました。豚肉やえびをはじめ、みそ、ナンプラー、トマトペースト。それぞれの持つうまみがパエリアの味をぐっと豊かなものにしてくれている……。
アイオリソースをかけるとさらに味に変化がついて、食べる手が止まらなくなりそうです。肉、魚介、野菜がバランスよくたっぷり添えられているのもうれしい!
お米のかたさは、自分としては「パエリアとして食べるのなら、このくらいがちょうどいい!」と思ったのですが、お水320mlで作った場合、結構しっかり歯ごたえが残っている印象。なので、冒頭でいづいさんが言っていたように、お好みに応じてお水の量を調整するのが良さそうです。
いつものおかずとも調和できる味わいなので、おもてなし料理としてだけでなく、日常的にも楽しんでほしいですね。
特別な日も、何気ない日も。それぞれが作りたいと思ったタイミングで気軽に挑戦してみてほしいフライパンで作るパエリア。この冬のお供にぜひ。
撮影:藤原葉子
編集:ノオト
高橋 亜矢子
たかはし・あやこ
コンテンツメーカー・ノオトに勤めるライター/編集者。知らない土地やスーパーをうろうろすることと交通インフラが好き。よく使う調味料はお酢。
この記事をシェアする