お鍋でラクラク!せいろ料理を手軽に楽しもう
蒸し料理がワンランクアップする調理道具「蒸籠(せいろ)」。でも「使うのが難しそう…」と、一歩踏み出せない方も多いのでは。今回はせいろの選び方から保管方法までを料理研究家の神田えり子さんに教わります。さらに、サーモスの「取っ手のとれる鍋」を使った簡単せいろレシピも! ぜひ作ってみてくださいね。
この記事をシェアする
神田えり子
かんだ・えりこ
兵庫県出身、東京都在住の料理研究家。添加物は極力使わず、健康を気遣った野菜中心のおばんざいレシピを得意とする。 企業向けのレシピ開発を始め、テレビや雑誌、Web メディアへの出演など多岐にわたり活動中。
せいろは竹や杉などの天然素材で作られた、昔ながらの蒸し器。普段からせいろをよく使うという神田さんは「強い蒸気で食材が一気に加熱されるため、うま味や栄養が逃げにくいのが特徴。蒸し上がった後も水分がほどよく抜けるので、ベチャベチャにもならないんです」と、その魅力を話します。
神田さん、初めてせいろを買う場合はどんなところに気を付けて選んだらいいでしょうか?
せいろには「中華せいろ」と「和せいろ」があります。初めて購入するなら一般的な中華せいろがおすすめです。サイズは小さな点心を入れる直径12cm程度から、大皿ごと蒸せる30cm程度までいろいろあります。私は料理教室用に28cmも持っていますが、ちょっと大きすぎて普段使いには向かないですね(笑)。使いやすいのは18~21cm程度。このサイズなら1段で1人前と考えてください。3~4人家族なら24cmを2段でも良さそうです。
今回持ってきていただいたせいろは神田さんの私物なんですよね。せいろは専用鍋がセットになっているものもありますが、鍋やフライパンでもOKですか?
せいろの専用鍋には内側に段があり、せいろがピッタリはまるようになっているんです。せいろと鍋の隙間から蒸気が漏れず、効果的に蒸せます。でも、ご家庭の鍋やフライパンでも大丈夫! せいろと鍋のサイズが合わない場合は「蒸し板」を間に挟みましょう。ぐらつきや蒸気漏れを防げるだけでなく、コンロの火でせいろを焦がしてしまう心配もなくなります。
せいろを使う時、まずはどのように準備をしたらいいのでしょうか。神田さん、注意点があれば教えてください!
せいろは使う前に水でよく濡らしておくと、汚れや割れ、焦げ付き防止になります。全体を流水で濡らしてからさらに大判のふきんをかぶせ、包むようにして濡らしておくと、せいろの内部まで水分が浸透します。溜めた水に浸けておいてもOK。浸けすぎるとせいろがやわらかくなりすぎて変形してしまう恐れがあるので、15分程度で大丈夫です。
せいろの表面をサッと濡らすだけでなく、中までしっかり水分をしみこませるのがポイントなんですね。
せいろは蒸気で加熱するので、鍋で沸かすお湯の量も大事ですよね。
お湯の量が少ないと、蒸している間に水を継ぎ足さなければならず、温度が下がってしまいます。材料を切るなど下ごしらえを進めている間に、水を入れて沸騰させておくのがいいですね。鍋やフライパンの7~8割を目安に、蒸気がたっぷり出ている状態でせいろをのせましょう。
ここからは実際にせいろ料理に挑戦! サーモスの「取っ手のとれる鍋」を使って、南イタリアの郷土料理をアレンジした「春野菜のせいろ蒸し アクアパッツァ風」を教えていただきました。
- 鯛(切り身) 2切れ
- あさり 150g
- アスパラガス 2本
- たけのこ(水煮) 80g
- 菜の花 50g
- ミニトマト 4個
- ブラックオリーブ(種なし) 8粒
- にんにく 1/2片
- レモン(薄切り) 4枚
- 【A】オリーブオイル 大さじ2
- 【A】白ワイン 大さじ1
- 【A】塩 小さじ1/2
- 【A】黒こしょう 少々
・あさりは3%の塩水(分量外)で砂出しをし、殻をすり合わせて流水で洗う。
・せいろはあらかじめ濡らしておく。
・鍋にたっぷりの湯を沸かしておく。
・クッキングシートを30㎝四方に2枚切っておく。
あさりは少し表面が出る程度の塩水に浸け、1時間以上置きます。アルミホイルに小さい穴をいくつか開けてかぶせておきましょう。海と似た環境になり、効果的に砂出しできますよ。
【1】鯛(切り身)は半分に切って水気を拭き取ってから塩(分量外・少々)を振って10分ほど置く。出てきた水分をさらに拭き取る。
魚はタラなど他のものでも美味しくできます。
【2】たけのこ(水煮)は熱湯を回しかけ、穂先は放射状に切り、残りは短冊切りにする。アスパラガスは根元のかたい部分を1cmほど切り落とし、下から1/3ほどの厚い皮をむいて斜めに5等分に切る。菜の花は5cm長さに切る。ミニトマトはヘタを取り除く。にんにくは芯を除いて横に薄切りにする。
たけのこの水煮は熱湯を回しかけてから調理しましょう。独特の酸味や匂いが軽減します。
にんにくの芯は竹ぐしなどで押し出すようにすると簡単に取り除けます。
【3】クッキングシートを2枚広げ、【1】と【2】、あさり、ブラックオリーブ(種なし)、レモン(薄切り)をそれぞれ彩りよく並べる。クッキングシートの両端をひねり、せいろにのせて【A】を回しかける。
魚や肉などを入れて蒸す場合、せいろに直接具材をのせるのではなくクッキングシートを敷きましょう。せいろに匂いや脂が残りにくくなります。また今回は鯛の下に菜の花も置いています。鯛のうま味が菜の花にしみこんで美味しく仕上がりますよ。あさりは口が開きやすくなるよう、上の方に盛り付けましょう。
蒸している間、魚介や野菜からうま味たっぷりのおいしいスープが出ます。クッキングシートは受け皿の役目も果たしてくれるので、キュッと結んで流れ出ないようにしましょう!
【4】熱湯が入った鍋に蒸し板を敷き、【3】のせいろをのせる。フタをして中火で10分を目途に、あさりの口が開いて、他の具材にも火が通るまで蒸す。
鍋が熱くなっているので、ヤケドをしないよう注意しましょう!
上下のせいろで火の通りに差があるようなら、途中で入れ替えてください。蒸し上がったら、お好みでオリーブオイル、塩、黒こしょう(各分量外・適量)をかけて召し上がってくださいね。
せいろが蒸されて木の香りがふんわりと立ちのぼる中、料理が完成しました!
神田さん、お味はいかがですか?
美味しくできて良かった! シンプルな工程ですが、せいろで蒸すことで具材のうま味がグッと引き出されています。レモンの爽やかさも効いていますし、お酒なら白ワインを合わせたくなりますね。クッキングシートに残ったスープは、バゲットなどを浸して食べるのもおすすめですよ。
せいろで作る蒸し料理の美味しさを実感! では、使い終わった後はどのように片付けたらいいのでしょうか。神田さん、長く使うためのお手入れ方法を教えてください!
洗剤がせいろの中まで浸透してしまうので、使い終わったら水洗いのみにしましょう。ブラシなどでかるくこするように洗ってください。
洗い終わったら乾いたふきんの上に立てかけて並べておきましょう。風通しの良いところがおすすめです。直射日光ではせいろが変形する場合がありますので気を付けてくださいね。
カビが生えないようにしっかり乾燥させてから保管しましょう。私は普段、棚の上などに置いています。
いくつかのポイントをおさえれば、長く手軽に使い続けることができるせいろ。少ない油で調理でき、食材の美味しさが生きるヘルシーさも魅力です。毎日の暮らしに、せいろ料理を取り入れてみてはいかがでしょうか。
撮影:山下コウ太
編集:Nadia
執筆:田窪 綾
調理師免許を持つフリーライター。惣菜店やレストランで8年ほど勤務経験あり。食分野を中心に、Webや雑誌で取材やインタビュー記事作成などを行っている。
この記事をシェアする