手軽なドリップバッグコーヒーをさらにおいしく!UCC担当者に聞く淹れ方のコツ
1杯分ずつ手軽に淹れられる「ドリップバッグコーヒー」。ただお湯を注ぐだけでもおいしく飲めますが、プロならではの淹れ方のコツがあるかもしれません。 今回は「UCCコーヒーアカデミー」の講師・清水美保さんに、サーモスの真空断熱マグカップを使ったコーヒーの淹れ方を教えていただきました。
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清水美保さん
UCCグループのコーヒー専門教育機関「UCCコーヒーアカデミー」にて講師を務める。社内資格である抽出士のほか、社外資格のアクアソムリエマイスター、高難易度の国際資格「CQI認定Qアラビカグレーダー」も保有。「わかりやすい言葉で解説し、コーヒーに対するハードルを下げる」をモットーに、受講生目線での指導を心がけている。
HP:https://www.ucc.co.jp/academy/
「サーモスの真空断熱マグカップは、ドリップバッグコーヒーとも相性ぴったり。フタ付きなので、自宅ではもちろんオフィスで飲むのにも良いですよね」と話すのは、UCCコーヒーアカデミーで講師を務める清水さん。今回は真空断熱マグカップを使って、コーヒーのおいしい淹れ方をレクチャーしていただきます。
その前にまずは「ドリップバッグコーヒー」について、簡単におさらいしましょう。
「ドリップバッグコーヒー」とは、ペーパータイプのドリッパーに1杯分のレギュラーコーヒーがセットされたコーヒーバッグのこと。家でもオフィスでも、カップとお湯があればすぐに淹れられるので、お気に入りのコーヒーを買い置きしている方も多いのでは?
ドリップバッグコーヒーには大きく分けて「カップオンタイプ」と「フックタイプ」という2種類の形があるそう。清水さん、それぞれどんな風に違うんでしょうか?
カップオンタイプはフックを支えにして、カップの上に乗せる形のドリップバッグです。コーヒー豆の特徴を楽しんでいただくような、ちょっとプレミアム感のあるコーヒーにこのタイプが多いですね。注ぎ口が広く、ハンドドリップのような感覚でコーヒーが淹れられます。抽出のテクニックも生かせますね。
なるほど。フックタイプはスーパーやコンビニでもよく見る形ですね。
フックタイプは左右2か所に大きなフックがあり、カップのふちに取り付けるような形状になっています。一番ポピュラーな形ではないでしょうか。フィルターが縦長なので、お湯を入れるとバッグが浸かりますが、しっかり深くかけられるので安定感があります。
ここからはカップオンタイプのドリップバッグコーヒーで実践! 準備することやお湯の温度など、おいしく淹れるためのポイントを具体的に教わります。
すぐにコーヒーを抽出するのではなく、まずはカップを温めておきましょう。カップの7~8割を目安に沸かしたてのお湯を注ぎ、20~30秒程度置きます。これはどんなカップでもあらかじめ行いましょう。サーモスの真空断熱マグカップなら、このひと手間で保温効果がより高くなりますね。
カップをアツアツにしておくのがいいんですね。コーヒーの抽出温度も熱湯でいいのでしょうか?
コーヒーの抽出温度は92~96℃を目安にしましょう。熱湯で注ぐと苦味や雑味まで抽出されてしまいます。オフィスではお湯の温度設定は難しいですが、沸騰したら数分置く、ドリップポットに移すなど、ワンクッション置いて適温に整えましょう。
セットしたらカップごと優しく揺らして、コーヒー粉を平らに整えましょう。このひと手間でお湯が均一にかかるようになります。
カップをトントンと叩いて平らにしてもいいですか?
カップを叩くとコーヒー粉の細かな粒子がドリップバッグの下に落ちて目詰まりをおこします。コーヒー粉はカップを左右に軽く揺らして平らにしましょう。
抽出は、お湯を3回に分けて注ぐ「3投式」がおすすめ。ですが、1投の前にまずは20ml程度のお湯を入れてコーヒー粉全体を湿らせ、蒸らします。ドリップバッグコーヒーは商品によってセットされているコーヒー粉の量が異なります。必要なお湯の量も変わりますので、詳しくはパッケージの説明を見てくださいね。
今回使用する商品に必要なお湯の量は160ml。蒸らしで20ml程度入れているので、残り140mlを3回に分けて注ぎます。目安は、1投目: 80ml、2投目:40ml、3投目:20ml。フィルターの約1/3までお湯の量が下がったら2投目、少し下がったら3投目を注ぎドリップ内の圧力を一定にします。そうすることで、クリアでまろやかなコーヒーに仕上がります。
続いては裏技!フックタイプのドリップバッグコーヒーはフィルターがお湯に浸かってしまうこともありますが、これを逆手にとり、手間をかけずに淹れる方法をお聞きしました。
カップオンタイプと同じように最初にお湯を20ml注ぎ、20秒ほど蒸らします。
続いては、一気に残りのお湯を注いでしまいましょう。フィルターがお湯にしっかり浸かっていますが大丈夫!このまま4分待ったら完成です。
分けて注ぐ必要がないんですね! 時間がない朝など、身支度をしながら手軽に淹れられそうです。
この淹れ方をおすすめできるのはフックタイプのみ。カップオンタイプは浸けることを想定した商品ではないので過抽出になる場合があります。ご注意くださいね。
2つのパターンで淹れたドリップバッグのコーヒー。ちょっとしたポイントを意識することでおいしいコーヒーが楽しめますね。
カフェオレにしたい場合は半量のお湯で抽出し、温めた牛乳を半量用意すると良いそう。「焙煎度合いは深煎りがおすすめです」と清水さん。
最後に気になる疑問を伺いました。紅茶や緑茶などは「最後の一滴がおいしい」といわれていますが、コーヒーも同様でしょうか?
コーヒーはよく「最後の一滴を入れないように」と言われているのですが、そんなことないんですよ。3投式でコーヒーを淹れた場合、雑味と言われるえぐみや渋みはドリッパーの中に残ります。抽出後にフィルターをギュッと絞らず、自然に落ち切ったところでフィルターを引き上げると、最後の一滴までしっかりおいしく楽しんでいただけます。
ちょっとした工夫で、いつもよりもグッとおいしくなるドリップバッグコーヒー。特別な道具は不要なので、すぐにトライできるのがうれしいですね。皆さんのコーヒーライフがより充実しますように!
撮影:山下コウ太
編集:Nadia
執筆:田窪 綾
調理師免許を持つフリーライター。惣菜店やレストランで8年ほど勤務経験あり。食分野を中心に、Webや雑誌で取材やインタビュー記事作成などを行っている。
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