昨年、世界ランク4位まで上り詰めた松山英樹選手のように、世界で活躍するプロゴルファーを夢見る選手がいます。田中章太郎さんは、日本ウェルネス高等学校の1年生。入学とともに親元を離れて、ゴルフ場のすぐ近くにある寮で暮らしながら、朝から晩までゴルフ漬けの生活をしています。子どもの頃から、こうと決めたらやり抜く努力家。「頑張って努力してもカンタンに極めることができないからこそ面白い」と語るゴルフに、いま全力で向き合っています。
好きこそものの上手なれ。
章太郎がゴルフを始めたのは、小学校3年生のときです。近所のゴルフ練習場で、ワンコインレッスンを受けてみたらハマってしまい、遊び半分でときどきクラブを握るようになりました。
そのうち、練習に付き合っていた父親が「この年にしてはかなり飛ばすから、ちゃんとやらせてみないか」と言い出したんです。ゴルフはお金がかかるイメージがあったので最初は反対したのですが、本人が楽しそうなのを見て応援しようと思いました。といっても当時は週に2~3回練習場に通ったり、ときどきショートコースでプレーをしたりする程度でした。
それなのに身体が大きかったからでしょうか、5年生の終わりには、関東ゴルフ連盟が主催する選手育成プログラムの第1期生に選出されることになったんです。
同じ頃、ずっと続けていたサッカーを辞め、ゴルフ一本に絞りました。5年生の最後の試合の日、自分でコーチのところにいき「ゴルフを頑張りたいからサッカーを辞めます」と言いに行きましたから、本人も子どもながらに決意があったと思います。
1日も休むことなく練習した。
火がついたのは、小学校6年生のときに出場した関東ゴルフ連盟小学生大会の予選。あと1打というところで全国大会の出場を逃してしまったんです。育成選手になって周りにも期待されていたし、本人も行く気マンマンだったので、すごく悔しかったんでしょう。そこから休みなく、毎日練習するようになりました。
中学時代はまさに練習の虫。授業が終わると一目散に教室を飛び出して、すぐにゴルフ練習へ。「もっと友達とコミュニケーションをとりましょう」と先生に注意されるくらいで、放課後に遊びにいくことは一度もなかったと思います。そんな調子だからクラスでも浮いていたんじゃないかなと思うんですよね。
いまはゴルフで知り合ったお友達がたくさんいますが、当時は普通の子と同じ生活を送れないことが親としては不憫で……。ただ、本人はそんなこと全く意に介さず、ゴルフがしたい一心でした(笑)。
章太郎の情熱が周りを動かしてきた。
子どもの頃から何か1つのことに集中するタイプで、例えばテレビCMの音楽が気になると、楽譜もないのにその音楽を再現できるまで、キーボードと何時間も格闘したりする子でした。
そんな、持ち前の粘り強さで一生懸命練習してきたことが成績にもつながりましたし、たくさんの方がサポートしてくださるようになりました。
わたしたちも、章太郎の熱意に引っ張られてここまできたような気がします。多いときは月3回ほど遠征に同行することもありますし、父親は道具の手入れを担当しているため、仕事の合間に徹夜で道具の調整をしたりすることもあります。
いま本人はプロを目指して頑張っています。プロの世界は本当に厳しい世界ですよね。でも、こういう性格ですから途中で辞めることはできません。本人が納得する日が来るまでずっと付き合っていきます。
※2018年4月 公開