自らを「自分は…」と呼ぶ、硬派な咲良さん。それでいて、4歳の弟の面倒を進んで見てくれる優しいお姉ちゃんの一面を持つ、とってもシャイな女の子。取材中は、一言ずつはにかみながら話をしてくれました。高校3年生になって進路に悩み、一度は諦めた野球の道。そんなとき、「なんでやねん!」とすぐにハッパをかけてくれたのは、彼女の熱い気持ちを見続けてきた両親でした。
突然訪れたチャンス、必死でつかんだ。
一番印象に残っている試合は、去年の春季大会の決勝です。いつも登板している同級生のピッチャーが骨折してしまい、自分に出番が回ってきたんです。エースの先輩と自分と二人で投げたのですが、優勝の決まった試合で投げられたことは大きな経験です。
実は、自分の高校野球は順風満帆ではなかったんですよ。
高校1年生のとき1〜2カ月ほど体調を崩して練習できない時期があったんです。長く休んだことで、周りの子にどんどん離されていってしまい、このままでは3年間試合に出られないかもしれないという状況になっていました。
そんなタイミングだったので、突然のことに驚きながら、せっかくのチャンスで活躍できるように一生懸命練習しました。
ピッチャーであることに誇りを持っている。
ピッチャーというポジションに、こだわりがあります。
もともと小さい頃から父や兄とキャッチボールをして育ってきたので、投げることがとにかく好きなんです。父のすすめもあったんですが、野球を始める段階で「ピッチャーじゃなければチームには入らない!」と決めていました。
目指している女子プロ野球の世界には、全国からいい投手がたくさん集まってくるので、ピッチャーのままではいられないかもしれません。でも、そのときは与えられたポジションで頑張ろうと思っています。
ライバルは、同学年のピッチャーの石村奈々選手です。ジャパン代表に選ばれていて、優勝にも貢献している。彼女と比べると自分は全てにおいて足りないものばかり。球速や変化球の種類やキレなど、改善して次のステップに上がりたいですね。
両親への恩返しはプレーで。
家族には感謝しています。
お父さんは、これまで自分が野球を続けてきたなかで、たくさんのサポートをしてくれました。野球道具のことも教えてくれる頼もしい存在。仲良しなので、服など野球道具以外の買い物も一緒に行ったりします。
お母さんは、美味しい料理を作ってくれます。
お弁当の献立で特に好きなのは、おにぎらずとコロッケ。お母さんの作るコロッケはすごく大きくて、俵型なんですよ。そこが特にお気に入りです。
おにぎらずはスパムが入っているのが好きで、入っているとテンションが上がります。試合だけでなく、学祭など特別なイベントの日も多めに作ってもらい、友達とシェアしています。
「このおかず美味しかったよ」というと、何日も続けてお弁当に入れられたりするので(笑)、あまり言いませんが、いつも感謝しています。
※2018年10月 公開