今夏、アメリカ・フロリダで開催された第8回WBSC女子野球ワールドカップで6連覇を達成した女子野球日本代表。チームを率いた橘田恵監督が指導する履正社高校女子硬式野球部で、女子プロ野球入団を目指し、日々練習に励む選手がいます。米田咲良さん、18歳。厳しい練習に負けない強い身体、恵まれた体格を持つ強肩ピッチャーを育んだお弁当とはどのようなものでしょうか。
幼い頃から野球がそばにあった。
咲良が野球を始めたのは、小学校1年生のとき。2つ上の兄も所属していた野球チームに入ったのがキッカケです。もともと主人がそのチームのコーチをしていたので、小さい頃からよく見学に行っていたんですが、「チョロチョロして邪魔やから、お前もついでに入れ」って(笑)。
中学生になる頃には、男の子との体格の差も出てくるでしょう。ソフトボールへの転向を勧められたんですけど、咲良は野球がいいって聞かなくて。中学校の野球部に入ることも検討していましたが、主人が他の選択肢も探してくれて、履正社医療スポーツ専門学校が主体のクラブチーム『履正社RECTOVENUS』の中学生チーム『NINO』にたどり着きました。
ここに入るのは本人が決めたことです。他のチームも見学に行ったんですが、「厳しく指導してくれそうだからここがいい」って。高校も履正社高校に進学したので、その頃から橘田監督にずっと見ていただき、お世話になっています。
具だくさんの“おにぎらず”が勝負メシ。
お弁当箱、小さいですよね。お兄ちゃんのときは大きなタッパー3つに、朝食、昼食、補食とそれぞれ詰めていたので、咲良のお弁当箱を見ると「こんなんでええの?」って思っちゃいます。
冬の間は、野球部サイドが補食用にごはんを炊いて用意してくれるんですよ。咲良自身も好き嫌いなく何でも食べるので、身体もしっかり大きくなって、「米田はもう補食はいらない」と監督にお墨付きをもらえるほど。ご飯が多いと「ご飯減らして!」って怒られちゃいます。
お弁当は、食べやすさを重視。夏場は塩の効いたおにぎりや、麺類をよく取り入れます。勝負の日はテンションが上がるという『おにぎらず』。「多めに作って」なんてオファーもあるので、カツやスパム、たらこ、シャケ、ハムチーズにおかかやチーズなど、いろんな具材を使って、たくさん作ります。
言葉の代わりにキャッチボール。
他のスポーツに浮気したことはなく、咲良は野球一筋。始めたばかりの頃は、野球経験のある主人と二人三脚で一生懸命がんばってきました。主人いわく、「もともと身体能力が高いわけではないから」と、肩やひじを壊さない投球法を念入りに練習してきたので、これまで大きなケガはありません。
いまは、野球のことは部活にお任せしていますが、お正月には「投げ初め」と銘打って、主人と兄と3人でキャッチボールしたりしています。思春期で、家族の会話も少なくなりがちですが、野球のことは話したりしているので、コミュニケーションのいい糸口になっているのかもしれません。
わたしにとっては、お弁当箱が親子の会話みたいなもので、空っぽになって返ってくると「今日も元気に練習できたんだな」とほっとします。
※2018年10月 公開