週末、高校生と一緒にウエイトリフティングの練習を行う和花さん。全国大会での連覇、そしてその先の高校新記録に向けて真剣な眼差しでシャフトを握ります。女子ウエイトリフティング界は中学生女子のライバルが少ないため、意識を上げるために今年から*J―STARプロジェクトという国家スポーツプロジェクトに参加。父和夫さんや、兄康太郎さんのように、世界で活躍できる選手を目指します。「花にたとえるなら自分はひまわり」と話す和花さんの前向きな性格は、これから先も折れることはないでしょう。
陸上と両立しているのはお父さんの教え
幼稚園のころに体操クラブに入って跳馬や床運動を習いました。母からは「フォームが不格好」って笑われて、自分でもそう思いながらやっていたけれど、あのとき跳躍で培われた瞬発力がウエイトリフティングにつながっていると思います。幼い頃から兄の応援でウエイトリフティングの大会に何度も行きました。本格的にやり始めたのは中学生になってからですが、見てきた記憶があるのですんなり競技に入り込めました。平日の陸上部は1年生が9人も入部してにぎやかで楽しいし、土日のウエイトは年上の宮城農業高校の選手に教えてもらいながらやっぱり楽しい。お父さんから「いろんな競技の指導者から教わり、いいものを吸収して成長しなさい」と言われているので、たくさんの仲間といろんなスポーツに楽しく取り組んでいます。
原動力は、辛口な家族のLINEで褒められたいから
佐藤家を一言で言うと、ガタイのいい家族です(笑)。お父さんは優しくて怒らないけど、お母さんは怒るとちょっと怖い。佐藤家のルール「30分前行動」に遅れたときは怒られます。自分のことは自分でするのもルール。両親が(教員で)仕事をしているので、食事の準備など家の手伝いは出来る限りやっています。
我が家は普通の家族ですが、他とちょっと違うかも?と思うのが家族のグループLINEです。大会で優勝しても誰も驚いてくれないんです(笑)。「和花が優勝したよ~」と入れてもみんな「シーン」。コッコ(長兄の康太郎さん)からの言葉は「たまたまだね、運が良かった」ですもん。自分も全中優勝して、高校3冠を取ったからだと思うのですが、みんなの求めるレベルが高すぎて辛口なんです。悔しい気持ちもありますが、それが佐藤家。だから取材を受けても、学校でおめでとうって言われても、自分で凄いことをやったという気持ちになりません。今年から*J-STARプロジェクトという練習会に参加して元オリンピック選手のコーチから直接指導を受けているので、全国から集まった新しい仲間たちに刺激をもらって、もっとレベルアップしたいですね。
失敗した時のことなんて考えてたら、持ち上げられるわけないでしょ!
ウエイトリフティングの楽しさは、やっぱり重いウエイトが上がった瞬間です! この間の練習で77キロを上げて、うれしくてその場でジャンプしちゃいました。「失敗したらどうしようって考えない?」とよく聞かれますが、そんなこと考えてたらできないでしょ!と答えます。緊張はするけど、良いイメージしか考えません。ウエイトリフティングは一瞬の集中力で決まるので、マイナス思考は大敵なのです。長男は努力家な天才肌、次男は天才肌な努力家。その一方で、私は努力家でも天才肌でもない「おちゃらけ型」。でも兄からは「ポジティブさは佐藤家NO.1」と感心されているので、高校生になってもこの気持ちを失わず、お父さんもお兄ちゃんも成し遂げた高校記録更新を達成したいです。
「和花」という名前の由来は、お父さんの「和」を取ってつけたそうです。「華」ではなく「花」にしたのは、見ている人を笑顔にしたいからだそう。自分を花にたとえたら、ひまわりだと思います。太陽のほうを向いて、ぐんぐん育っていくひまわりのように、明るく、楽しく、これからも前を向いて進んでいきます。
*J-STARプロジェクト
将来オリンピック・パラリンピックなどの国際舞台を目指す選手を育成するため2017年に創立した国家プロジェクト(JSPO=公益財団法人日本スポーツ協会主催)。11歳(小6)から20歳までをエントリーし書類選考、実技審査を経て選抜される。
※2022年7月 公開