スープジャーで世界一周 -海の恵みがぎゅっと凝縮! パイラマリーナ(チリ)-

忙しい毎日。朝起きて、家事や仕事に追われるうちに、気がつけばもう夕方。 どこか遠くへ旅に出たい! なんて思う日もありますが、残念ながらそう簡単に飛び出すわけにはいきません。 それならせめて気持ちだけでも広い世界を味わいたいもの。 ここでは世界各国のスープ料理を、その国の魅力やマメ知識と共にご紹介します。 スープジャーに世界中のスープ料理を閉じ込めて、旅してみませんか?

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寒さがことのほか厳しい2月。こう毎日寒いと、うだるような暑さの夏すらなんだか恋しくなってきます。そんなときは想像の翼を広げ、赤道の反対側へ足を伸ばすのはいかがでしょうか?
今回ご紹介するのは、南米チリのパイラマリーナ。
”Marina” はスペイン語で「海」の意味。その名の通り海の恵みがぎゅっと詰まったスープです。

南米大陸の西の端に位置する、南北に細長い国、チリ。
全長は約4300km、国土は日本の2倍ほどで、その南北の長さゆえ、ひとつの国の中にさまざまな気候風土が存在します。アンデス山脈に沿うように、北には広大なアタカマ砂漠、中央部には平地と渓谷が、南にはフィヨルドと氷河が広がります。そして、本土からはるか離れた西の海には、モアイ像で有名なイースター島が浮かんでいます。

チリという国名は、アンデス周辺の先住民族の言葉で「地の果て」を意味する“Chili”に由来するという一説も。あのダーウィンも最果てのパタゴニア地方に足を踏み入れています。
パタゴニアは、アンデス山脈を挟んで西側がチリ、東側がアルゼンチンに属し、西側には大規模な氷河が広がっています。

スペイン系などヨーロッパにルーツを持つ人々が多く暮らし、公用語もスペイン語のチリですが、先住民族の文化の息吹もそこかしこに残っています。
民族それぞれにある伝統的な音楽は「フォルクローレ」と呼ばれ、今ではポピュラーミュージックとして親しまれているものも。
自然も文化も、さまざまな表情を見せてくれる国、それがチリです。

北部の砂漠地帯のことにも触れておきましょう。
標高2000mの高地に広がるアタカマ砂漠は、世界で最も乾いた砂漠と言われています。その荒涼とした風景はまさに地の果てという表現がぴったり。
この砂漠には「月の谷」と呼ばれる一帯があります。太古の海底が隆起してできた地形で、探検家ならずとも心惹かれる神秘的な場所です。

▲「月の谷」に浮かぶ月

海の塩でできた塩原や、月面のクレーターと見まごうばかりの岩場、砂地には砂紋が現れては消え……。訪れた人はその光景に息を呑むことでしょう。

空気が乾いていることから、「世界でいちばん星の見える場所」とも言われるアタカマ砂漠。日本をはじめ22の国と地域が共同で作ったアルマ望遠鏡もこの地に設置されています。

もうひとつ、チリとアルゼンチンの2国にまたがるへネラルカレーラ湖(アルゼンチン名:ブエノスアイレス湖)にある洞窟、マーブルカテドラルも見逃せません。

大理石が水によって侵食されてできたこの洞窟は、青色を帯びた幻想的な空間。何万年もの歳月をかけて削られた大理石が光を反射し、湖面を青く輝かせているのです。
その荘厳さから“大理石の聖堂”という意味の「マーブルカテドラル」という名前が付けられました。

チリと言えば忘れてはならないのがワインです。
スペインの植民地だった歴史を持つチリでは、比較的古くからワインの製造が行われていました。リーズナブルで質の良いチリワインは、近年日本でも大注目! 2019年まで5年連続で輸入量第1位となっています。

チリ料理の定番は「エンパナーダ」という南米風ミートパイ。ワインのおつまみとしてもよく合います。また、伝統料理「パステル・デ・チョクロ」は、肉や玉ねぎ、ゆで卵などの具をパイにして焼いたもので、パイ生地にとうもろこしのペーストを用いるのがチリらしいところです。

長い海岸線を持つチリは、海の幸にも恵まれています。首都サンティアゴの市場では朝6時に水揚げされた魚が8時には並んでいるとか。
そんな市場の食堂や屋台で食べるメニューの定番が、今回ご紹介するパイラマリーナです。
「マリーナ」は、スペイン語で海という意味。その名の通り海の恵みがたっぷりと詰まったスープです。

「パイラ」と呼ばれるぽってりした素焼きの器で食べるのが「パイラマラリーナ」という名前の由来。でもここは日本なので、パイラの代わりにスープジャーに入れて食べましょう。
味の決め手は貝のうまみ。たくさん入れるほど貝の出汁が出て、おいしくなります。冷凍や缶詰を活用してもOK。その場合は、缶汁や戻し汁も忘れずに入れてください。
仕上げにハーブをひとつまみ。香りが立ち、お洒落なスープになりますよ。

魚介の旨味がぎゅっと詰まった熱いスープで、しばし寒さを忘れましょう!

  • お好みの貝なんでも 合計100g(殻付きなら200~250g程度)
  • お好みの白身魚切り身 1切れ
  • エビ 3尾
  • 玉ねぎ 1/4個
  • 赤・黄パプリカ 各1/8個
  • おろしにんにく(チューブでもOK) 1/2片分
  • オリーブ油 小さじ1
  • 白ワイン 大さじ2
  • 水 200ml
  • オレガノ 少々
  • 塩・こしょう 少々
  • コリアンダー 好きなだけ

スープジャーに熱湯(分量外)を入れ、フタをしないで5分以上保温する。

1. 白身魚は1切れを3等分程度に切り、玉ねぎはみじん切り、パプリカは5mm角程度のさいの目切りにする。コリアンダーは細かく刻んでおく。
2. 鍋にオリーブ油を中火で熱し、玉ねぎを透き通るまで炒める。
3. 玉ねぎが透き通ったらにんにくとオレガノを加えて炒め合わせ、白ワインを入れて煮立たせる。
4. 水200mlを加えて沸騰させ、そこに貝類とエビを入れて中火~弱火で5分ほど煮る。
5. 貝やエビに殻があれば除き、白身魚とパプリカを入れてさらに5分ほど煮る。塩・こしょうで味を調える。
6. スープジャーに入れ、コリアンダーを散らして完成。

※保温後は6時間以内に一度にお召し上がりください。

ライター:松下梨花子
編集:オフィス福永

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