スープジャーで世界一周 ―ピクニックにもミネストローネ(イタリア)―
忙しい毎日。朝起きて、家事や仕事に追われるうちに、気がつけばもう夕方。 どこか遠くへ旅に出たい! なんて思う日もありますが、残念ながらそう簡単に飛び出すわけにはいきません。 それならせめて気持ちだけでも広い世界を味わいたいもの。 ここでは世界各国のスープ料理を、その国の魅力やマメ知識と共にご紹介します。 スープジャーに世界中のスープ料理を閉じ込めて、旅してみませんか?
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春も本番。気持ちのいい春風の吹く日には、お弁当を持ってピクニックに行くのも楽しいものです。
今回ご紹介するミネストローネは、食べごたえ満点なイタリアのママンの味。思い立ったらすぐ作れるので、お出かけのお供にぴったりです。
ところで、この3色、何かに似ていると思いませんか?
そう、日本でも親しまれているピザ「マルゲリータ」の具材、トマト・モッツアレラチーズ・バジルの色使いです。これはマルゲリータ妃という王妃がナポリを訪れた際に、国旗に似た色合いをいたく気に入ったことにちなんで、ピザに王妃の名が付けられたと言います。
国民の約80%がキリスト教徒であるイタリアでは、4月の復活祭「パスクア」が大切な年中行事のひとつとされています。この日は家族そろってミサへ行き、そのあと一家で食卓を囲み、ご馳走を食べながら団欒するのが習慣なのだとか。日本で言う正月のおせち料理みたいなものですね。
イタリアはブーツや長靴に例えられる細長い形をしており、南北で気候や文化にそれぞれ違いがあります。そしてどちらの地域にも出かけてみたい魅力的な街がたくさんあります。
アマルフィの海岸を埋める家々は色とりどりで、近年人気の観光スポット。ユネスコの世界遺産に登録されています。また、とんがり屋根の伝統的な建物「トゥルッリ」で知られるアルベロベッロの街は、まるでおとぎ話の世界。こちらも世界遺産に登録されています。
さて、食べ物の話に戻りましょう。
アルプス山脈が走っている北イタリアの気候とは違い、南イタリアは年間を通じて温暖で、オリーブやトマト、レモンなどの栽培が盛ん。こうした食材と新鮮な魚介類などをシンプルに組み合わせた「地中海の料理」は、世界無形文化遺産に登録されています。
ミネストローネは北部ロンバルディア地方が発祥という説もありますが、イタリア各地で作られる家庭料理です。
ミネストローネ=”minestrone”には「ごちゃまぜ」という意味も。その名のとおり野菜や豆、肉類など多くの具がまざっています。実は必ずしもトマトを使わなくてもOK。中身は台所にある食材によって家庭ごとに変わるのがママンの味と言われるゆえんです。
熟したトマトには、アミノ酸系のうま味成分・グルタミン酸が豊富に含まれています。そのためトマトが入ると、うま味が増してスープがおいしくなるというわけです。
さらに、ベーコンなどの動物性食品には、核酸系のうま味成分・イノシン酸が豊富に含まれます。この2つの成分は組み合わさるとうま味が何倍にも強く感じられる、いわば黄金コンビ。和食の要、「鰹(イノシン酸)と昆布(グルタミン酸)の合わせだし」と同じ理屈です。
今回は春が旬の野菜を中心に具を選びましたが、お好みに合わせて食材を変えてもおいしく仕上がります。
ポイントは、煮込む前に野菜をしっかり炒めること。余分な水分を飛ばし、スープの味がぼやけるのを防ぎます。ただし、煮くずれしやすいじゃがいもは後から加えましょう。新じゃがが手に入れば、皮を残したままでも風味があっておいしいです。
ミネストローネをスープジャーに詰めて、春のお出かけを楽しんでくださいね!
- 玉ねぎ 1/8個
- にんじん 30g
- キャベツ 30g
- じゃがいも 30g
- にんにく 1/2片
- ベーコン 20g
- いんげん豆水煮 10g
- オリーブオイル 小さじ1
- カットトマト缶 約1/8缶(50g)
- コンソメスープ 200ml
- 塩・こしょう 各少々
- 粉チーズ お好みで
スープジャーに熱湯(分量外)を入れ、フタをしないで5分以上保温する。
1. 玉ねぎ、にんじん、キャベツ、じゃがいも、ベーコンはそれぞれ7mm角程度の角切りにし、にんにくはみじん切りにする。
2. 鍋にオリーブオイルを敷いて中火で熱し、ベーコンとにんにくを炒める。油が回ったら玉ねぎ、にんじん、キャベツを加え、玉ねぎが透き通り始めるまで炒める。
3. トマト缶とコンソメスープを加え、煮立ったらじゃがいもといんげん豆を入れる。
火を弱め、フタをしてじゃがいもに火が通るまで5分ほど煮る。
4. 塩・こしょうで味を整えて、スープジャーに注ぐ。お好みで粉チーズをかけて完成。
※保温後は6時間以内に一度にお召し上がりください。
ライター:松下梨花子
編集:オフィス福永
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