軽くて焦げつきにくい。サーモスフライパンの秘密を教えてもらいました!

炒めるのはもちろん、煮る、蒸す、揚げるといった調理もしやすい、サーモスのフライパン。「デュラブルコート」「プラズマ超硬質コート」という2つのコーティングの特徴や、長く使うための正しいお手入れ方法をマーケティング部の下里麻結さんに教えてもらいました。

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下里麻結(しもざと・まゆ)

下里麻結(しもざと・まゆ)

2016年サーモス入社。マーケティング部・商品戦略室に所属。これまでソフトクーラーやフライパン・ガラスフタの開発に携わる。生産現場で商品立ち上げも従事、日々商品の改善を心掛けている。

高い品質・性能はもちろん、使いやすさにもこだわった商品開発を行っているサーモス。その多くは、“外出先の相棒”として使われるアイテムでした。そこで、「家の中でもサーモスの技術を生かしたアイテムを届けたい」との思いで開発を始めたのが、「KITCHEN +(キッチンプラス)」シリーズ。2019年からはフライパンの製造・販売に注力しています。

メーカーとしてフライパン開発は後発ながら、現在では7つのシリーズのフライパンを展開。「炒め」はもちろん、「煮る」「蒸す」「揚げる」といった調理も一つのフライパンで叶えてほしいという思いから、深型設計の商品を多く揃えています。

下里さん
「深型設計なら、ちょっとした煮物も作れますし、油はねが心配な揚げ物にも使えるんです。少ない油で揚げ焼きができて、油がはねても側面に当たって飛び散りにくい(※)。後片付けも楽になりますよ。28cmや30cmの大きなサイズなら、パスタやとうもろこしを茹でることもできます。

一つのフライパンでいろいろな調理ができれば、仕事や家事が忙しい人にも手軽に使っていただき、より料理を楽しんでいただけると思いました」

※ IHクッキングヒーターと20cm以下のフライパンでの揚げ物調理は禁止しています

サーモスのフライパンの開発は、「取っ手のとれるシリーズ」から始まりました。フライパン本体は食洗機&オーブンに対応(※)、調理後そのまま食卓に出せて、収納時はコンパクトにまとまるなどのメリットから“着脱できる取っ手”を採用したほか、試作を重ねて、料理を作る人に徹底的に寄り添った仕様にたどり着きました。

※ 食洗機を使用する際は中性洗剤を使用してください。オーブンは220℃まで対応していますが、取っ手は入れられません

注目は、2021年に改良された取っ手。スライド式からボタン式になり、カチッと一段階で締め付けができる仕様になりました。より簡単に操作できるようになったと評判です。

さまざまな工夫が凝らされる中で、底面に入った円状の刻みも、こだわりの部分。本体が軽すぎると底面が五徳の上で滑りやすくなるため、底面に円状の刻みを施し、滑りにくさを実現させました。

▲ガス火専用の取っ手のとれる鍋。円状の刻み加工がつけられている

この取っ手のとれるシリーズをはじめ、サーモスのスタンダードモデルのフライパンに施されているのが、「耐摩耗性デュラブルコート」というコーティング。アルミ基材の上に、「プライマーコート」「ミドルコート」「トップコート」のふっ素を3層構造で仕上げており、非粘着性が高く、食材のこびりつきにくさを実現。さらに「耐摩耗性も高めるため、ちょっとした秘密がある」と下里さん。

▲3層構造のイメージイラスト

下里さん
「ふっ素はやわらかく、そのままでは傷や摩耗には弱いんです。そこでサーモスのデュラブルコートでは“硬質フィラー”という素材を取り入れて、耐摩耗性を向上させています」

こうしたお客さま目線のものづくりができるのは、品質部門やお客様相談部門も含めて、社内モニターを通年で実施しているからこそ。

下里さん
「社員にサンプルを使って調理してもらい、アンケートを取って、もしそこで課題があれば生産までに改善していきます。社内からの声なので、もちろん忖度はなく、かなり厳しい意見が飛び交うことも。例えば、『ちょっとこびりついた』という意見が出たら、塗料を改良して、また試して、これを繰り返します。いいものを作るために、生産までに何度もトライしています」

硬質フィラーを配合したデュラブルコートのフライパンは、「取っ手のとれるフライパン」「フライパン」「玉子焼きフライパン」シリーズがラインアップ。

IHクッキングヒーターに反応するステンレスプレートがつくIH・ガス火両用に対し、ガス火専用のフライパンはステンレスプレートをつける必要がないので、その分軽量に。

さらにガス火専用の最軽量シリーズは、より軽量化するために取っ手にもあるこだわりがあるそう。

▲取っ手の裏側を空洞化(=肉抜き)している

下里さん
「取っ手の裏側を “肉抜き”することで、より軽量化を目指しました。こうして全体的に軽量にすることで、片手でも調理しやすくなりました」

デュラブルコート以外に、ハイグレードタイプ「プラズマ超硬質コート」のフライパンシリーズもあります。一番の特徴は、圧倒的な耐久力です。

一般的なフライパンは、アルミ素地にふっ素を直接コーティングします。しかし、プラズマ超硬質コートのフライパンは、アルミ素地に17000℃(※)のプラズマジェット加工をしてから、ふっ素をコーティング。アルミ素地の表面がギザギザした鍵状になるため、より強力な密着性があるほか、アルミの約10倍の硬さをもつため、擦り減りにくく、焦げつきにくさが持続します。

※ コーティング時のプラズマジェットの電子温度

「デュラブルコートとプラズマ超硬質コート、どちらかというと、初期の非粘着性(こびりつきにくさ)に優れているのはデュラブルコートのフライパンですね。しかし、長く使って摩耗した時に非粘着性が続くのは、プラズマ超硬質コートのフライパンです。日頃からよく作るメニューや料理の頻度によって、ご家庭に合ったものをお使いいただければうれしいです」

5年以上フライパンの開発に携わり、全種類を試してきたという下里さん。なかでもお気に入りは、「深型玉子焼きフライパン」だと言います。実はこの玉子焼きフライパンも、幅広い料理に使えるのだそう。

「魚を焼く時にさっと使えたり、バターソテーを作る時も少量のバターですんだり、使い勝手がいいんです。深型なので汁気のあるものも作れますし、盛り付ける時も角から注ぎやすい。取っ手をつけるリベットが本体の上部にあるので、卵液や具材がこびりつかないところも気に入っています」

使用頻度が高いフライパンだからこそ、日々の使い方やお手入れのちょっとしたコツで、その消耗スピードは大きく変わってくるそうです。すべてのサーモスフライパンに共通する、正しい扱い方を教えてもらいました。

空焚きをすると、フライパンが高温になるため変形してしまうことも。また、高温が原因でふっ素から有毒ガス発生する場合もあるので、空焚きは避けましょう。1分半くらいの中火での予熱ならOK。

高温になるとふっ素加工がやわらかくなり、金属ヘラなどを使って調理すると劣化の要因にもなり得ます。調理中は、中火以下を推奨しています。取っ手を焦げつかせることにもなりかねないので、フライパンの底面からはみ出るような強火はNG。

ふっ素加工を痛める原因となるため、金属製のキッチンツールの使用はNG。取っ手のとれるフライパンは、そのまま食卓に並べることもできますが、取り分けや盛り付けなどに使うキッチンツールも、金属製のアイテムは控えましょう。

調理後の熱々のフライパンに、すぐに水をかけるのは禁止。急冷急熱はフライパンの変形やふっ素の剥がれにつながるため、少し時間をおいて冷ましてから洗いましょう。水をかけた時に、ジュッといわない温度が目安です。また、調理したフライパンをそのまま長時間放置するとふっ素の腐食の原因になるので、使用後は1時間以内に中性洗剤で洗うのがおすすめ。

フライパンを洗い終わったら、取っ手内部に入り込んだ水を水抜き穴から出しましょう。水抜き穴を下に向けて、フライパンを少し軽く振るとすぐに水が抜けます。

▲サーモスのフライパンの取っ手には水抜き穴がある

使用頻度は人それぞれですが、気になるのがフライパンの寿命。その目安は、非粘着性の効果を感じられなくなった時。タンパク質の多い肉類や目玉焼きがこびりつきはじめたら、買い替えの検討を始めましょう。

IH・ガス火両用やガス火専用、取っ手のとれるシリーズを展開するサーモスのフライパン。どれも使いやすいカラーリングで耐久性も優れているから、自分の好みやライフスタイルに合わせて選ぶことができます。ぜひ手に取って使いやすさを実感してみてください。

サーモス「KITCHEN +」(キッチンプラス)シリーズ
https://www.thermos.jp/product/pickup/fryingpan.html

撮影:小野奈那子
編集:ノオト

船橋麻貴

船橋 麻貴

ふなばし・まき

雑誌やWEB、広告などで執筆中。生涯の目標に締切厳守を掲げるものの、いろいろ遅れがちな人生。特技は暴飲暴食と思いつき旅。焼き菓子&パン1年生。

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