毎日の暮らしに豊かな香りを。多彩に使いこなすフレッシュハーブレシピ
いつもの料理にちょっとした変化を付けられるハーブ。でもせっかく買ったのに全部使い切れず、うっかりしおれさせてしまった…なんてこと、ありませんか? ハーブ料理家の白山美奈子さんに、スーパーで購入できる身近なフレッシュハーブの使い方や、ワザありのハーブレシピを教えていただきました。
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白山美奈子
しろやま・みなこ
ハーブ料理家。自身の体調不良をきっかけにハーブの魅力を知り、独学でハーブを使った料理を研究。ハーブコーディネーターやメディカルハーブセラピスト、漢方コーディネーターなども取得する。現在はハーブを専門にしたレシピ開発やフードコーディネート、コラム執筆など多彩な活動を行っている。
Instagram:@herbs.shiroyama
一口に「ハーブ」といってもたくさんの種類があり、色や形、香りもさまざまです。今回は白山さんに「料理に使いやすいハーブ」を数種類ご用意いただきました。
幅広い料理に使いやすく、スーパーなど身近な場所でも購入しやすい点で選ぶなら、バジル、ローズマリー、ミント、イタリアンパセリといったハーブですね。いずれも肉料理、魚料理、サラダやドリンクなどさまざまなシーンに活躍します。難しく考えなくても、例えばカップに直接ハーブを入れて、お湯を注いで飲むだけでも十分楽しめますよ。
えっ! ティーポットを使わず、直接でもOKなんですか?
はい! ではローズマリーとバジルで作ってみましょうか。ハーブは洗って水気を切っておきましょう。ローズマリーは叩くだけでも香りが出ますよ。カップに入れたら熱湯を注いで、そのまま3分待つだけです。ハーブは飲む前に取り出してくださいね。
ほんのりグリーンがかった色になりましたね。ハーブティーにバジルを使うのは意外な印象でしたが、ほのかに甘く、すっきりした飲み心地で美味しいです!
数種類のハーブを加えると、意外な美味しさに出合えます。時間を置くと色が変わってしまうので、早めに飲んでくださいね。特にローズマリーは紅茶やトマトジュースに加えるのもおすすめです。今回持参したローズマリーは「トスカナブルー」という代表的な品種です。お花も食べられるので、エディブルフラワーとして活用できますよ。
なるほど…! ではイタリアンパセリやミントはどんな風に使えますか?
イタリアンパセリは飾り付けに使われることが多いですが、ビタミンやミネラルなどが豊富に含まれているんです。どんな料理にも合うので、刻んで料理に散らすだけでもOK。爽やかな香りで食欲を増進してくれます。
ミントは疲労回復におすすめのハーブです。いろいろな種類がありますが、今回持参したのは「イエルバブエナ」という品種で、モヒートに使われます。ミントはドリンクやスイーツだけでなく、いつものサラダに加えるとすっきりとした味わいが楽しめますよ。
ハーブを買ったら、少しでも長持ちさせたいですよね。白山さん、上手な保存方法はありますか?
ハーブは傷つけないこと、そして適度な水気がポイントです。ではイタリアンパセリで実践してみましょう。
まずはボウルに溜めた水を用意し、茎の部分を持って葉を振りながら洗います。
ペーパータオルの上で水気を拭き取ります。このとき、ハーブを押さえ付けないように優しく拭き取りましょう。
少ししおれていても、根元を切って水を吸わせる「水あげ」という作業をすると元気になります。その後、濡らしたペーパーを巻き付けてラップを巻き、袋に入れてから、野菜室ではなく冷蔵庫で保存しましょう。フードコンテナーならこのままフタをして保存するだけでOKです。
根元を切って水を吸わせるのは、お花と同じ要領ですね。ローズマリーやミント、バジルはどのようにしたらいいでしょうか?
ローズマリーは葉の部分が水に長時間触れると腐ってしまうので、根元の近くの葉はちぎっておきましょう。ミントやバジルの場合は葉が変色しやすいので、濡らしてよく絞ったペーパータオルで優しく挟み、保存容器に入れて、冷蔵庫で保存します。使う前にまたサッと洗ってくださいね。
ここからは、「ローズマリー」と「バジル」を使ったレシピを2品教えていただきました。
- 【A】にんにく 1片 4g
- 【A】サラダ油 大さじ1/2
- 米(無洗米) 1合
- ボイルホタテ 5個 100g
- 水 280ml
- アスパラガス 5本 100g
- バジル 5g
- 塩・こしょう 各適量
- 【B】しょうゆ 小さじ2
- 【B】バター(有塩) 2g
・アスパラガスとバジルは、洗って水気を切る。
・アスパラガスは根元を切り落とし斜めに切り、バジルはちぎる。
・にんにくは皮をむき、半分に切る。
【1】小さめのフライパンに【A】を入れ、にんにくの香りがしたら米(無洗米)を入れて中火で軽く炒める。米に油が回ったら火を止め、別のフライパンにうつし水とボイルホタテを加える。フタをして強火にかける。沸騰したら弱火にして10分加熱する。火を止めそのまま10分蒸らす。
炒めたときの軽い焦げやえぐみをお米に移さないよう、炊くときはフライパンを分けるのがコツです。最初に使ったフライパンは洗わなくて大丈夫。後でアスパラガスを炒めるのに使います。
【2】アスパラガスを【1】のフライパンに入れ2分炒める。バジルを入れたら火を止め、余熱で炒めながら塩・こしょうをふる。
バジルは加熱しすぎると香りが飛び、黒く変色してしまうので、火を止めて余熱で調理します。
【3】にんにくとボイルホタテをほぐしながら全体をよく混ぜ、【2】を加える。再度、火をつけ中火で【B】を入れ炒める。
続いては、ローズマリーと新じゃがを使ったクリームパスタ。生クリームは入れていないのに、濃厚なコクが楽しめます!
- ローズマリー 2本 (茹でる用と仕上げ用。1本10cm程度)
- 【A】コンソメ(顆粒) 小さじ1
- 【A】牛乳 200ml
- 【A】しょうゆ 小さじ1
- スライスチーズ 2枚
- 塩・こしょう 各少々
- フェットチーネ(生パスタ) 160g
・新じゃがいもとローズマリーは、洗って水気を切る。
・新じゃがいもは、皮をむき1cm程の角切りにする。
【1】鍋に新じゃがいもとローズマリー1本を入れる 。水をひたひたに入れ、強火にかける。沸騰したら弱火にして2分茹で、ローズマリーを取り除き、さらに3分茹でる。
ザルにあけ、ボウルに入れ【A】を加え、ハンドブレンダーなどで攪拌する。
じゃがいもに香りと精油成分をうつすため、ローズマリーも一緒に茹でます。ただ茹ですぎるとえぐみが出てしまうので、途中で取り出してくださいね。
トロトロになるまで攪拌しましょう!
【2】再び鍋に戻し、弱火で温める。スライスチーズをちぎり入れて混ぜ、塩・こしょうで味を調える。
【3】フェットチーネ(生パスタ)をパッケージ通りに茹でる。フィットチーネを【2】に加えて和え、 お皿に盛り付け、ローズマリーの葉をちらす。
フレッシュハーブを使った料理2品が完成しました! 香り良く、見た目も美しいですね!
そう言ってもらえるとすごく嬉しいです!「ホタテとアスパラのガリバタピラフ」は、にんにく+バターでちょっとした背徳感を楽しむレシピにしました(笑)。バジルは海鮮などの臭みを取ってくれる効果があるので、すっきりとした後味に仕上がっています。
「新じゃがの和風クリームパスタ」は、じゃがいもをローズマリーと一緒に茹でていましたね。ローズマリーのほのかな香りが付いたじゃがいものソースがふわふわで、フェットチーネによく絡んでいます。
野菜にハーブの香りを付けるのは、私が以前勤めていたビストロなどでもよくやっていた方法なんです。じゃがいもとローズマリーは相性抜群。今回は新じゃがを使用しましたが、 通年で手に入るじゃがいもでも美味しく作れます。
ちょっと使いたいときに、あると便利なフレッシュハーブ。どうしても使い切れないときは、いつもの調味料に混ぜるだけでも良いそう。普段の暮らしの中にハーブを自然に取り入れられるようになると素敵ですね。いろいろな使い方をぜひ試してみてくださいね!
撮影:山下コウ太
編集:Nadia
執筆:田窪 綾
調理師免許を持つフリーライター。惣菜店やレストランで8年ほど勤務経験あり。食分野を中心に、Webや雑誌で取材やインタビュー記事作成などを行っている。
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