スープジャーで世界一周 -優しい味クラムチャウダー(アメリカ)-
忙しい毎日。朝起きて、家事や仕事に追われるうちに、気がつけばもう夕方。 どこか遠くへ旅に出たい! なんて思う日もありますが、残念ながらそう簡単に飛び出すわけにはいきません。 それならせめて気持ちだけでも広い世界を味わいたいもの。 ここでは世界各国のスープ料理を、その国の魅力やマメ知識と共にご紹介します。 スープジャーに世界中のスープ料理を閉じ込めて、旅してみませんか?
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温かい食べ物がおいしい季節になってきました。特にクリーミーなスープが恋しい日に食べたいのが、ミルクベースのクラムチャウダーです。
クラムチャウダー発祥の地とされるのは、アメリカ東海岸のニューイングランド地方。
17世紀、イギリスからやってきた人々が最初に上陸したといわれている場所で、現在のメーン州、ニューハンプシャー州、バーモント州、マサチューセッツ州、ロードアイランド州、コネチカット州の6つの州から成ります。
ボストンの歴史を知るのにぴったりなのが、建国の面影をたどる「フリーダムトレイル」です。
ボストンは、アメリカ独立に際してさまざまなドラマが生まれた街。なかでも独立戦争への気運が高まるきっかけとなったボストン茶会事件は、聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか?
フリーダムトレイルは、アメリカ独立にまつわるスポット16か所をめぐる街歩きです。スタート地点は、ボストン市中心部の広大な公園「ボストンコモン」。ここから赤いレンガのラインが伸びており、それをたどりながら歩くと16か所をもれなく回れる仕組みになっています。
ゴール地点、チャールズタウンの「バンカーヒル記念塔」まで約4kmの道のりですから、歩こうと思えば歩ける距離ですね。
ボストンにはケンブリッジ地区という文教地区があります。
ケンブリッジといえば、イギリスの名門大学ケンブリッジ大学をまず思い浮かべると思います。ボストンのケンブリッジは、イギリスからの入植者たちが故郷のケンブリッジをイメージして街づくりをしたといわれるアカデミックな地区です。
この地にある世界屈指の有名大学といえば……そう、ハーバード大学です。
1636年に創設されたハーバード大学はアメリカで最も古い大学とされ、400年近く経った現在でも名門大学として威光を放っています。
卒業生や教授など関係者を合わせると、今まで150人以上のノーベル賞受賞者を出しているというから驚きですね。
大学の施設は一部が一般向けに開放されており、現役学生が案内してくれるツアーもあります。
ボストンのもうひとつの魅力、それは「シーフード」です!
なかでも代表的なのが真っ赤に茹でたロブスター。溶かしバターをつけて、手で豪快にいただきます。
一尾だけでは足りないのでしょうか、ほぐしたロブスターの身をパンにはさんだ「ロブスターロール」も人気メニューです。生牡蠣もシュリンプカクテルも、これでもかというくらい出てきます。
そしてロブスターと並ぶボストンの名物料理が、今回ご紹介するクラムチャウダーです。
主役の「クラム」=”clam”は、二枚貝類の総称。貝類にはコハク酸と呼ばれるうまみ成分が豊富に含まれています。このコハク酸のおかげで、塩こしょうだけでバッチリ仕上がるのです。
今回は季節を問わず手に入りやすいアサリの水煮缶を使いましたが、イキのいい貝が手に入ったら、もちろん生の貝を使って作ってください。
水煮缶を使う際の注意は、缶に入っている汁を絶対に捨てないこと。溶け出したうまみ成分を余さずスープに入れましょう。
ボストンに行った気分で、うまみたっぷりのクラムチャウダーを味わってみてください!
- アサリ水煮(缶) 30g
- じゃがいも 30g
- 玉ねぎ 15g
- にんじん 15g
- ベーコン 15g
- バター 10g
- 小麦粉 小さじ2
- 水・アサリの缶汁 150ml
- 白ワイン 大さじ1/2
- 牛乳 150ml
- 塩 小さじ1/2~
- こしょう 少々
- パセリ お好みで
スープジャーに熱湯(分量外)を入れ、フタをしないで5分以上保温する。
1. 野菜類は5mm角の角切りに、ベーコンは5mm幅の短冊切りにする。
2. 鍋にバターを入れて弱火で熱し、溶けたらベーコンと玉ねぎを炒める。玉ねぎが透き通ってきたらにんじん、じゃがいもも加え、油が回るまで炒める。
3. 2に小麦粉を少しずつ振り入れ、よく混ぜる。
4. 水とあさりの缶汁を3に少しずつ加えて、小麦粉を溶きのばす。にんじんとじゃがいもに火が通るまで、5分ほど煮る。
5. 白ワインと牛乳、あさりの身を加え、ひと煮立ちさせる。
6. 塩で調味し、こしょうを加える。パセリは刻んでおく。
7. スープジャーの湯を捨てて6を注ぎ、パセリをのせて完成。
※保温後は6時間以内に一度にお召し上がりください。
ライター:松下梨花子
スープの撮影:土肥裕司
編集:オフィス福永
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