洗濯ブラザーズに教わる! 衣替え前の正しいおうち洗濯メソッド

洗濯ブラザーズに教わる! 衣替え前の正しいおうち洗濯メソッド

暖かな春を迎え、そろそろ衣替えのタイミング。出番を終えた冬物のコートやニットは、ついクリーニング店に頼りがちですが、素材によっては自宅で水洗いした方がスッキリと汚れが落とせるそう。洗濯ブラザーズさんに、衣替え前に知っておきたい「正しい洗濯の方法」を教えていただきました。

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洗濯ブラザーズ

<プロフィール>
洗濯ブラザーズ
茂木貴史(写真左)、茂木康之(中央)、今井良(右)の3人で結成し、毎日の洗濯を楽しくハッピーにするための活動をするプロ集団。横浜でクリーニング店「LIVRER YOKOHAMA(リブレ ヨコハマ)」を経営するかたわら、劇団四季や国内外の有名アーティストの衣装クリーニングを行う。また、オリジナルのナチュラル洗剤を開発し、好評を博している。著書に『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム刊)がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/SentakuBothers

今年も衣替えの季節がやってきました。しかし、クローゼットに長期間眠っていた洋服を取り出してみたら、「襟元が黄ばんでいた」「シミや虫食い穴ができていた」なんてことも……。洗濯ブラザーズ長男の茂木貴史さんによると、こうした失敗の原因は「皮脂や汗などの汚れが衣類に残ったまま保管してしまった可能性が高い」そう。ということは、やはり衣替え前の洗濯はクリーニング店にお任せすべきなのでしょうか?

茂木さん
茂木さん

春の衣替え前に、ニットやアウターなどをクリーニング店に持ち込まれる方も多いですが、実はこれでは黄ばみやシミの原因となる汚れを落とせません。というのも、クリーニング店では水を使わず石油系の洗剤で洗い上げる「ドライクリーニング」をすることが多く、この方法だとファンデーションなどの油性汚れには効果的ですが、汗や飲み物など普段の生活で付着しやすい水溶性汚れはなかなか落とせないんです。

だから僕たち洗濯ブラザーズはクリーニング店を営んでいるにも関わらず、衣替え時期であろうとなかろうと、「自宅での水洗い」を推奨しているんです(笑)。

とはいえ、冬物の衣類の洗濯表示を見ると「ドライクリーニング」のマークがついていることが多いもの。自宅で水洗いするなんて、もってのほかでは……?

茂木さん
茂木さん

アパレルメーカーはリスクヘッジのためにドライクリーニングを推奨することが多いのですが、あれは「ドライクリーニングでなければならない」という意味ではなく、「ドライクリーニングもできる」という意味。

今回は自宅での正しい洗濯の方法をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。衣替え前だからといって特別なケアが必要というわけではなく、毎日この方法で洗濯してほしいです。

洗濯する前に大切なのは、水洗いができる素材の見分け方。なかには自宅での洗濯がNGの素材も。

茂木さん
茂木さん

生地が強い綿・麻のほか、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維は自宅の洗濯機で洗ってOKです。デリケート素材のウール・カシミヤ・アンゴラ・シルクは手洗いを推奨します。

一方、クリーニング店にお任せしてもらいたい素材は、水にとても弱いキュプラ・レーヨン・アセテート。とくにアウターの裏地で使われていることが多いので、品質表示タグをよくチェックしてください。

洗濯機洗いがOKの綿・麻・ナイロン・ポリエステルなどの衣類。茂木さんいわく、正しい洗濯機洗いをすることで、汚れの落ち具合が格段にアップするそう。

茂木さん
茂木さん

全自動洗濯機が主流になりましたが、洗濯機に衣類と洗剤を入れてスイッチを押すだけでは、汚れが落としきれていないことが多いです。

この正しい洗濯機洗いのポイントを押さえておけば、漂白剤や柔軟剤を使わなくても、洗剤だけでスッキリと汚れを落とすことができますよ。

より汚れを落としたい面を表側にするのが洗濯の基本。しかし、ロゴや装飾のある衣類は必ず裏返しましょう。また色柄ものも裏返すことで、衣類同士の擦れや繊維抜けによる色移りを防ぐことができます。目の細かい洗濯ネットを使うとより安心。

汚れをしっかり落としたくても、洗剤の量をむやみに増やすのはNG。汚れが気になる場合は、弱アルカリ性洗剤と水を1対1で混ぜた「プレウォッシュ液」をつけて15分ほど放置。ピンポイントの汚れは、ブラシでトントンと叩きましょう。洗剤原液をつけたり、こすったりするのは衣類にダメージを与えるので厳禁。プレウォッシュ液は、1週間以内に使い切りましょう。

全自動洗濯機は、節水モード設定されていることが多いので、基本設定よりも水量を一段階上げるor常に満水にセットしましょう。洗いの段階で水が少ないと汚れが浮き上がらない上に、すすぎの段階での水不足は、汚れの繊維戻りの原因になります。ドラム式洗濯機で、すすぎの設定ができる場合は「注水」モードがオススメ。

洗剤には洗浄のほか「衣類を水のダメージから保護する」という役割があります。そのため、最初に水と洗剤をよく混ぜて、しっかりと泡を立てることが大切です。衣類→水→洗剤で洗濯機に投入した場合、水と洗剤が混ざるまでの時間=洗いのロスタイムになってしまいます。

水と洗剤を攪拌する時間が惜しい場合は、洗いの時間を3分程度伸ばせばOK。ドラム式洗濯機の場合は、事前に水と洗剤を1対1の割合で混ぜたものを洗剤ケースに入れておきましょう。

衣類の詰め込み過ぎはもちろんNG。目安は6割以下で、タテ型洗濯機なら衣類を軽くこぶしでおさえたときに、水が手首の上あたりまで浸かる状態がベスト。ドラム式の場合は、ドラムの窓の半分以下(約15L)までに対して、最大水量(25L)の手動設定がオススメ。

茂木さん
茂木さん

シワや型崩れ、色移りなどを防ぎたい衣類は洗濯ネットに入れましょう。衣類に対してネットが大きい場合は余った部分をゴムで結んで、中の衣類が動かないようにしてください。

次は、ウール・カシミヤ・アンゴラ・シルクなどの衣類の手洗い方法について。とはいえ、手洗い=面倒くさいというイメージがついてまわります。

茂木さん
茂木さん

実は10分あれば、簡単に手洗いできるんですよ。洗濯機の手洗いコースがよくないとは言いませんが、やはり人の手を使ったほうが圧倒的にダメージは少ないです。大切な衣類のためにも、ぜひ手洗いにチャレンジしてみてください。

洗濯機洗と同様に、気になる部分汚れには、プレウォッシュがオススメ。弱アルカリ性洗剤と水を1対1で混ぜたスプレーを吹きかけて、ブラシでたたいて汚れを浮かせましょう。

手洗いの場合は、衣類にもっとも刺激の少ない中性洗剤を使いましょう。洗濯機洗い同様、まずは水orぬるま湯(30℃以下)と洗剤を混ぜて、しっかりと泡を立てるのがポイント。洗剤に明記されている手洗いの使用量を厳守しましょう。同じ洗剤液で、2〜3着は洗えます。

衣類はやさしく押し洗いが基本。両手で衣類を沈めたら、引き上げて水気を落とし、また沈めるを繰り返すだけで、汚れは落ちていきます。襟元や袖口などをこするのはNG。

衣類に残った汚れと洗剤を遠心力で飛ばすために、洗濯機で1分だけ脱水しましょう。濡れている衣類はダメージを受けやすい状態のため、必ず洗濯ネットに入れてください。洗濯ネットは衣類にフィットさせるのが鉄則なので、余った部分は縛りましょう。

1分の脱水が終わったら、衣類を洗濯ネットから出して、新しいキレイな水ですすぎます。ステップ3と同様に押し洗いを3分ほど行いましょう。すすぎ後は再び洗濯ネットに入れて、洗濯機で1分脱水にかければ、洗いは完了です。

茂木さん
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ニットを干すときは、型崩れしないように平置きネットの使用がオススメです。100円均一ショップにも売っているので、ぜひ取り入れてください。

ちなみに、素材さえしっかりチェックすれば、厚手のコートもこの方法で洗えます。コートはハンガーで干したあと、乾燥機に30分くらいかけると、ふわっとしたボリュームが復活します!

茂木さんによると、洗濯物は季節や天気を問わず「いつでも部屋干し」がオススメだそう。

茂木さん
茂木さん

晴れた日は、洗濯日和! なんて言いますが、どんな衣類も紫外線によって大きなダメージを受けます。色褪せや風合いが損なわれる原因になるので、いつでも部屋干しがオススメです。

どうしても外干しがよければ、紫外線のダメージを受けにくい陰干しにしてください。

部屋干しと聞くと、やはり気になるのは、あの独特な生乾き臭です……。

茂木さん
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そもそも生乾き臭は、ちゃんと洗えてないことや、乾燥に時間がかかりすぎて雑菌が繁殖してしまうことが原因で発生します。先程説明した正しい洗濯方法を実践した上で、温度・湿度・通気性を管理すれば、生乾き臭はなんなくクリアできます。

通気性をよくするため、衣類に風をあてるサーキュレーターや扇風機は必須ですが、温度と湿度の管理の方法は簡単。温度と湿度の低い冬は室温を上げればいいし、温度と湿度が高い夏は除湿器などで湿度を下げればいいだけです。季節によって3つをうまくコントロールしてみてください。

せっかくなので、洗濯のプロ・茂木さん自らが衣替えで気をつけている「収納方法」についてもお伺いしました。

茂木さん
茂木さん

湿度の高い日本では、思っている以上にクローゼット内に湿気がこもりがち。カビの温床にならないように、僕は置き型の除湿剤を4個くらい並べています。特に気をつけたいのは、ウールやカシミヤなど虫に食べられやすい動物性繊維。虫は上から下に移動するので、衣類は重ならないように丸めて並べるように収納しています。

あと、クリーニング店から返ってきた衣類は、ビニール袋を必ず外します。ビニール袋を被せたままだと湿気が溜まってカビが発生してしまう恐れがあるので、みなさんも気をつけてくださいね!

茂木さんが教えてくれた正しい洗濯方法の手順。衣替え前はもちろん、クローゼットから久しぶりに出した衣類も同じように洗濯することで、目に見えないこもった湿気やカビを取り除いてくれるそう。ニットやセーターは着用するたびに洗う必要はないけど、「シーズンの中盤に最低1回は洗うと気持ちよく過ごせる」そう。

正しい洗濯の知識があれば、洗濯すること自体が楽しくなり、より気持ちのいい生活が送れるはず。衣替えでもう失敗しないために、なにより毎日のオシャレをいっそうエンジョイするために、正しい洗濯を実践してみてはいかがでしょうか。

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イラスト:ナカミサコ
編集:ノオト

船橋麻貴

船橋 麻貴

ふなばし・まき

雑誌やWEB、広告などで執筆中。生涯の目標に締切厳守を掲げるものの、いろいろ遅れがちな人生。特技は暴飲暴食と思いつき旅。焼き菓子&パン1年生。

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