夏まっさかり。旬をまるごとひんやり味わう、スイカとミントのグラニテ

真夏に食べるひんやりデザートは、格別のおいしさです。普段の食事から積極的に旬の味覚やフルーツを使っている料理家の中川たまさんに、スイカを使ったフランスの氷菓子「グラニテ」の作り方を教えていただきました。

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中川たま

中川たま

なかがわ・たま

料理家。神奈川・逗子で夫と娘と暮らす。季節の食材や果実を生かした、家庭でも作りやすいシンプルな料理を手掛ける。近著に『たまさんの食べられる庭ー自然に育てて、まるごと楽しむ』(家の光協会)、『自家製米粉ミックスでつくるお菓子』(家の光協会)を出版。
Instagram:@tamanakagawa

水分をたっぷり含んだスイカは、身体にうるおいを与えてくれる夏にぴったりの食べ物。

実はかつてはスイカを食べる習慣がなかったという中川さん。ところが、あるきっかけで夏の食卓に欠かせない存在になったのだといいます。

「ある日熱中症になったとき、食欲がなく、味の濃いものを受け付けなくなったんです。そこで、ぱっと思い浮かんだのがスイカでした。それまではあまり好きじゃないと思っていたんですが、スイカを食べたら生き返ったような感覚になって。以来よく食べるようになりましたね」

今回中川さんが教えてくださるのは、暑さでバテてしまうときにもすっと手が伸びるデザート。食後のおやつとしてはもちろん、身体をクールダウンさせたいとき、食欲がわかないときにもおすすめです。

  • スイカ(皮を外したもの)…300g
  • ミント…約15枚
  • ホワイトバルサミコビネガー…大さじ1/2(穀物酢以外のお好みのお酢でも可)
  • 塩…ひとつまみ
▲スイカは「なるべくずっしりしているもの」「表面の皮につやがあるもの」「緑の部分と黒い縞のコントラストがはっきりしているもの」を選ぶとよいそう。

【1】 スイカを一口大に切り、種を取る。

中川さん
「使うのは、小玉スイカやカットスイカでもOKです。種は、お箸を使うと取りやすいですよ」

【2】 保存袋に入れ、封をして手で粗めにつぶす。

▲ちょっとトマトにも見えます

中川さん
「実が細かくなるまでつぶさなくて大丈夫です。少しごろっと感が残るくらいまで粗めにつぶしてください」

【3】 ちぎったミント、お酢、塩を加え、さっと混ぜ合わせる。

中川さん
「お酢を少し加えることで、後味がさっぱりしますよ。ミントの葉は、細かくちぎらなくて大丈夫です」

【4】 保存容器に入れ、冷凍庫で一晩凍らせる。

▲サーモスの角型600mlのフードコンテナー(KC-SA600)を使用しました。今回のレシピの分量は、このサイズで作るのに適した量になっています

中川さん
「しっかりと凍らせるため、7〜8時間くらい冷凍庫に入れてください」

【5】 冷凍庫から出して、フォークでガリガリとかいて器に盛る。

▲冷凍庫から出したての場合、ちょっと力が要るのでお気をつけください

中川さん
「冷凍庫から取り出した直後はカチカチに凍っているので、溶け過ぎないように様子を見ながら少しずつ削っていきます。フォークで削る工程の中で、ミントの葉を細かくすることができますよ」

見ているだけで涼しくなる、ひんやりデザートが完成しました。このレシピのポイントは、お酢を使っていることなのだそう。

酸味とスイカって実はとても相性がいいんです。お酢は、スイカのさっぱりした甘さを引き出しつつも、さわやかな酸味を加えてくれます。今回はホワイトバルサミコビネガーを使用しましたが、りんご酢などのほかのお酢も合いますよ。ちなみに切ったスイカにバルサミコ酢をかければ、それだけで前菜のように楽しむこともできます」

さらに今回は、スムージーのアレンジレシピも教えていただきました。

【1】 冷凍庫から取り出し、少し柔らかくなったら、グラニテをミキサーの中に入れる。

【2】 とろっとなめらかな質感になるまでかくはんする。

▲かくはんすることで、少し淡い色合いになります

【3】 タンブラーやグラスに注いだら完成!

▲サーモスのタンブラー(JDH280C)でひんやり感をキープ

中川さん
「スムージーにすると、グラニテとは違ったなめらかな口当たりが楽しめます。軽いものを摂りたいときにもぴったりですよ」

普段からフルーツを自然に料理に取り入れているという中川さん。その軽やかな姿勢には、フルーツの捉え方にヒントがありました。

▲おうちのあちこちに素敵な器が並ぶ食器棚が。最近は直感で買うことが多いそう

フルーツを『調味料』として捉えているからかもしれませんね。フルーツはそれぞれ、既存の調味料とはまた違った、自然な甘味や酸味を持っています。普段あまり料理にフルーツを使わない方は、フルーツの『味』の特性に着目してみて、どんな料理に合いそうかを考えてみると、使いやすさがぐっと変わると思います。

例えば酸味が好きな方は、サラダにフルーツを加えてみるとか。刻んだきゅうりにプラムを添えて、ハーブやオイル、お酢などを和えるだけでも立派なサラダが出来上がります」

また、中川さんは普段、「旬の食材を使うようにしている」と話します。

「栄養価も高いし、おいしいし、いいことずくめなんですよね。旬のものを食べていれば、元気でいられると思っています。フルーツは野菜よりも旬が短いので、楽しめるのは限られた時期だけ。だからこそ、おいしく味わえる食べ方をいろいろ試してみてほしいです」

▲3年ほど前に迎え入れたしろちゃん。もとは地域猫だったそうです

いろんな食材を使って栄養を摂らなくては、と考えるとちょっと大変に感じてしまいますが、「旬のものを率先して使う」というきまりを作っておくのは普段の料理の助けになりそうです。

「ちなみに今回紹介したグラニテのレシピは、旬を楽しめるだけでなく、一番おいしい時期の味わいを保存しておけるというメリットもあるんですよ。メロンやプラム、パイナップルのほか、さまざまなフルーツでも応用ができるのもうれしいところ。よく熟れたものを使うのがおすすめです。使うフルーツに合わせてお酢の量を調整しながら、ぜひ作ってみてください」

取材後、近所のスーパーでスイカを見つけ、早速グラニテを作ってみました。家にちょうどあったりんご酢を使用しましたが、自然な酸味がスイカとよく馴染んでいて、夏にぴったり……! スイカをそのまま食べるときとは違った満足感で満たされました。

さらにメロンでも実践。果肉が柔らかいからか、スイカよりもちょっとシャーベットのような、すっと溶けるきめ細やかな口当たりで、違ったおいしさでした。いろんな種類のグラニテをストックしておくと、蒸し暑い夏の暑さをさわやかに乗り越えられそうです。暑い夏のお守りに、ぜひ。


執筆:ひらいめぐみ
撮影:小野奈那子
編集:ノオト

ひらいめぐみ

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23年前からたまごシールを集めています。すきな食べものはめかぶとかんぴょう巻き。

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