冷えやストレスも原因に……! 乾燥肌になってしまう生活習慣&正しいケア

毎日ケアをしていても、化粧ノリが悪くなったり、体がかゆくなったりと、乾燥肌に悩む人は少なくありません。「乾燥肌は季節的な外的要因だけではなく、生活習慣が大きく影響している可能性があります」と話す医師の石原新菜先生に、乾燥肌の原因や対策を聞きました。

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石原新菜

石原新菜

いしはら・にいな

医師・イシハラクリニック副医院長。主に漢方医学、自然療法、食事療法により、様々な病気の治療にあたっている。わかりやすい医学解説と親しみやすい人柄で、メディア出演や公演も多数。著書には『病気にならない 蒸しショウガ健康法』(アスコム)など。

そもそも、「メイクのノリが悪い」「全身がカサついてかゆい」など、顔や体の乾燥を感じてしまったとき、皮膚の状態は一体どうなっているのでしょうか。

「肌は一番外側から『表皮』『真皮』『皮下組織』の3層構造になっています。健康な肌は、表皮の最も外側にある『角質層』の細胞同士がきれいにくっついて並び、外部刺激から肌が守られています。これは、『バリア機能』が正常に働いて、潤い成分が外に逃げないように閉じ込めてられている状態です。一方、乾燥肌とは細胞間に隙間ができてしまい、バリア機能が低下している状態のこと。ここから紫外線や細菌、摩擦などのダメージを受けると、潤い成分が外に出ていってしまいます」(石原先生)

健康な肌 乾燥した肌

乾燥肌は一時的なトラブルやストレスとなるだけではありません。乾燥によって肌のバリア機能が低下すると、小ジワができやすくなったり、アトピー性皮膚炎や乾燥性皮膚炎などを引き起こしたりする恐れがあります。

「外気が乾燥する秋冬は、もちろん肌も乾燥しやすくなります。しかし、春夏も紫外線のダメージでバリア機能が低下しているので、実は乾燥が起こりやすい季節。乾燥対策は、できれば一年中心がけてほしいところです。私のクリニックには、季節を問わず乾燥による肌トラブルに悩む女性がやってきますが、実は生活習慣が大きな原因という場合も多いです」(石原先生)

乾燥肌になってしまう、主な原因を教えていただきました。

石原先生の専門である漢方医学の考え方によると、冷え性や低体温の人は血流が悪いので乾燥肌になりがち。毎日たっぷり水を飲んで内側から潤っているつもりでも、そもそも体が冷えていて巡りが悪ければ、毛細血管や細胞の隅々まで水分を巡らせることはできません。

過度なダイエットや食生活の乱れによる栄養不足も、肌の乾燥を招く原因になります。健やかな肌の生成にはタンパク質や、ビタミンA、B、C、Eなどの栄養素が必要です。また栄養だけでなく、睡眠不足も肌のターンオーバー(古い細胞が新しい細胞へと一定サイクルで生まれ変わる作用)を乱してしまいます。

ヒトはストレスを感じると「コルチゾール」というストレスホルモンを分泌します。これが過剰に分泌されると肌にうるおいを与える「セラミド」が分解されてしまいます。「肌が乾燥する」→「セラミドが減る」→「バリア機能が低下して、さらに乾燥する」という負のスパイラルに陥ってしまうこともあります。

温度の高いお湯に長時間つかると、皮膚の細胞が開いてしまいます。すると、角質層に存在する保湿成分の天然保湿因子が逃げて、肌の内側に水分を保てなくなってしまい、乾燥に繋がります。さらに洗顔後やお風呂を出たあとは、急激なスピードで肌の乾燥が始まるため、なるべく早く保湿ケアを行うことが肝心です。


肌の乾燥が気になったらスキンケアイテムをあれこれ試すのではなく、乾燥肌に繋がるようなこういった生活を送っていないか? をまずは見直してみることも大切です。

乾燥肌を改善したいと思ったら、毎日のちょっとした生活習慣を意識してみましょう。

「手軽なホットドリンクといえば白湯。そのまま飲むより、生姜やシナモン、レモンの絞り汁、はちみつなどをちょい足しすると、より温かさが続いて体の巡りが良くなります。ちなみに私は、生姜紅茶を毎日飲んでいます。トイレを我慢すると体がむくんで血流が悪くなってしまうので気を付けましょう」(石原先生)

「乾燥肌が気になったら、タンパク質、ビタミン、EPAを意識的に摂取しましょう。味噌は、体を温めながら腸内環境も整えて代謝を上げてくれる乾燥改善のスーパーフード。体温が低くなる朝や夜に、味噌汁や肉・野菜がたっぷりの豚汁をいただくのもオススメです」(石原先生)

「睡眠中に分泌される成長ホルモンは、ターンオーバーを促進します。就寝時に電気毛布を使うと乾燥してしまうので、湯たんぽで暖をとりましょう。タンパク質を構成するアミノ酸配列がヒトの肌成分とほぼ同じシルク素材の枕カバーやマスクの使用もオススメです」(石原先生)

「洗顔はぬるま湯が基本。顔をごしごしと擦るのは絶対NGです。たっぷりの泡でやさしく汚れを落としましょう。乾燥が気になるときは、朝はぬるま湯だけの洗顔がベター。洗顔後は、化粧水でたっぷりと肌を潤し、肌の状態を確認しながら、乳液やクリームなどでふたをしましょう」(石原先生)

「お風呂の温度は40度で10〜15分ほどつかるのが理想。肌に膜を張って水分の蒸発を抑えてくれるオイル系や、自然由来の成分が肌に潤いを与えてくれるハーブ系の入浴剤もオススメです。お風呂から出た後の保湿は早ければ早い方が良いです。絶対に10分以上放置しないようにしましょう」(石原先生)

「エアコン暖房は空気が乾燥しがちです。加湿器を併用して60%前後の湿度キープを目指しましょう。また、エアコンからの送風が肌に直接当たらないように気をつけてください。オイルヒーターなど空気を乾燥させない家電も上手に取り入れましょう」(石原先生)

「仕事や家事の合間に休息をしっかり取って、ストレスや疲れをためないように心がけましょう。自分がリラックス、リフレッシュできる方法をいくつか知っておくことも大切です」(石原先生)

乾燥肌は体質だから仕方ない……と思い込みがち。しかし、実は日頃の生活習慣の結果が表れているとも考えられそうです。

まずは自分の肌が乾燥する原因を知って、基本的な乾燥対策をしていくことから始めてみてはいかがでしょうか。

イラスト:すぎやままり
編集:ノオト

西田タニシ

西田タニシ

にしだ・たにし

おしゃれライター&編集者。ファッションから健康系まで20〜30代女性をターゲットに雑誌や書籍、Webメディアなどで元気に執筆中。

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