旬の旨みがギュッ! 長谷川あかりさんに教わる「春キャベツとあさりの炊き込みごはん」
言葉の響きだけで、思わずうきうきした気分になる「炊き込みごはん」。実は、フライパンひとつで手軽に作れるんです。普段から炊き込みごはんをよく作るという、料理家の長谷川あかりさんに、旬の春キャベツとあさりを使った炊き込みごはんの作り方を教えていただきました。
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長谷川 あかり
はせがわ・あかり
料理家・管理栄養士。「なんでもない日を幸せにする、シンプルで豊かなごはん」をテーマに、食べ疲れしないのにちょっぴりおしゃれで自己肯定感の上がる“新しい家庭料理”のレシピを発信中。2022年11月に初のレシピ本『クタクタな心と体をおいしく満たす いたわりごはん』(KADOKAWA)を出版。
Twitter:@akari_hasegawa
Instagram:@akari_hasegawa0105
具材のうまみがぎゅっと染み込んだ炊き込みごはん。日常的に食べる白米よりも、ちょっと特別感があって、ついパクパクと箸が進みます。
一方で、水の分量や時間などが普段の炊き方と異なるため、あらかじめ分量が決められた市販の素に頼ってしまいがち。失敗せずに、いちから自分で作るにはどうしたらよいでしょう。
週に2、3回は炊き込みごはんを作っているという長谷川あかりさんに相談してみたところ……
炊き込みごはんって、手が込んでいるようで実はすごく簡単なんです。工程が少なくて、調味料もシンプルなので「こんなに簡単でいいの?」と拍子抜けするくらい(笑)。今回は、フライパンひとつで作れる炊き込みごはんの作り方をお伝えしますね。
手間がかからないのは、日常的なごはん作りをする上でとっても大事なポイント。長谷川さん、ぜひ教えてください!
- 米…1合
- にんにく…1片
- オリーブオイル…小さじ1
- 【A】
- 水…1カップ
- 白ワイン…大さじ1
- 塩…小さじ1/4
- 春キャベツ…2~3枚
- あさり…200g
- 黒こしょう…適量
【1】あさりを50℃くらいのお湯の中に入れ、砂抜きをする。
あさりの砂抜きは面倒なイメージがありますが、50℃くらいのお湯に入れると、たった5分で砂抜きができるんです。お湯の温度はわざわざ計らなくて大丈夫! ぱっと指を入れてみたときに、お風呂よりちょっと熱めでぎりぎり入れられるくらいの温度が目安です。お湯をぐらぐら沸かして同量の水と合わせると、だいたい50℃になるのでおすすめです。
【2】にんにくを薄くスライスする。
具材として少し食感を残しておきたいので、みじん切りではなくスライスにカットします。新にんにくの場合は、もっとごろっと感を出して1/2くらいにカットするといいですよ!
【3】フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて火を付け、弱火でじっくり加熱する。
この工程でオリーブオイルににんにくの香りを移しておくと、このあと入れるお米にもしっかりと浸透します。今回は22cmのフライパンを使っていますが、少し深さのあるフライパンであれば、他のサイズでも大丈夫です。
【4】にんにくの良い香りがしてきたら、米と塩ひとつまみ(分量外)加え、弱めの中火で、透明になるまでさらに炒める。
キューキューと音が聞こえてきたら、お米に火が通っているサイン。一度お米を炒めることで、パラっとした仕上がりになります。
【5】一度火を止め、A(水、白ワイン、塩)を加えて表面をならしたら、春キャベツを食べやすい大きさにちぎって加える。
包丁を使うのは、にんにくをカットするときだけ。キャベツは食べやすい大きさに手でばりばりちぎってください。炊き込んでいる間にやわらかくなるので、芯も一緒に入れてしまって大丈夫ですよ。
【6】あさりをキャベツの上にのせたらフタをして、弱めの中火にかける。沸騰したら火を弱めて計20分加熱して、最後に黒こしょうをかける。
火を弱めてからは何度も様子を見る必要がないので、わたしは普段、この時間でスープや副菜を作っています。
途中、フライパンを少し傾けてみて、水気がなくなってきているなと感じたら、大さじ1の水を足してみましょう。足しすぎると今度はべちゃっとしてしまうので、注意してくださいね。炊き上がったら、黒こしょうを振り、器に盛り付けて完成です! お好みでレモンをかけるのもおすすめです。
フライパンをパカっと開けると、部屋中がいい匂いに……! 長谷川さんと一緒に、編集部メンバーもいただきます。
わたし、あさりの酒蒸しがこの世でいちばん好きな食べものなんです(笑)。そんなあさりの酒蒸しの要素を取り入れているレシピなので、間違いないおいしさですね。調味料は塩と白ワインしか入れていませんが、あさりとキャベツのうまみがぎゅっと滲み出ていて、満足感もしっかり得られます。
編集部メンバーからは、「顆粒だしやコンソメを使っていないのに旨みがすごい」「レモンをしぼると味変になって二度おいしい!」「早速今晩作ります」と感激の声が上がりました。さらには、「梅干しを足してみてもおいしそう」という意見も。
ぜひ思い思いにプラスしてみてください! わたしがレシピを考えるときには、作る方が自分のアレンジを加えられるよう、余白を残すようにしているんです。今回の炊き込みごはんなら「紫蘇をのせてみようかな」とか「きのこを入れてみようかな」とか。そうやって、好みのアレンジを見つけて「自分の味」にしていってもらえたらうれしいです。
味が濃厚だったり、みずみずしかったりと、旬の食材には、その時期ならではの良いところがいっぱい。長谷川さんは、これらの理由に加えて、旬の食材を使うことの魅力を教えてくれました。
忙しい日々を過ごしていると、心に余裕がなくなって、自己肯定感が下がってしまうこともありますよね。そんなときに、ちょっと頑張って旬の食材を取り入れると、「ちゃんと季節をたのしめてる!」と自分を肯定してあげられる気がするんです。ちょっと疲れているな、というときほど、旬のものは積極的に取り入れてみてほしいです。
旬の食材を使って、いちから作る炊き込みごはん。最初は難しいかなと構えていましたが、工程を目の前で見ていたら「これなら自分でも作れそう!」と思い、実際に家で作ってみることに。少ない調味料で、簡単に旨みたっぷりなごはんが作れることに感動……!
オリーブオイルをバターに変えてピラフのようにしたり、シーフードミックスを足してみたり。シンプルだから、いろいろなアレンジをたのしめるレシピです。ぜひ何度も作って、自分にとってのマイベストアレンジを見つけてみてください!
撮影:藤原葉子
編集:ノオト
ひらいめぐみ
24年前からたまごシールを集めています。すきな食べものはめかぶとかんぴょう巻き。
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