水道水に入れるだけ! 備長炭でおいしい水を作ろう

水道水に入れるだけ! 備長炭でおいしい水を作ろう

“脱プラ”への関心が高まり、マイボトルを使う人が増えてきました。白湯を飲んだり、お茶やコーヒーを淹れる機会が増えたりして、自宅の水にこだわりを持つ人も増えたのではないでしょうか。今回は水道水をおいしい水に変えてくれる「備長炭」に注目! 昭和10年創業の炭の専門店・増田屋の増田聡さんに、なぜ備長炭で水道水がおいしくなるのか教えてもらいました。

この記事をシェアする

Facebook X LINE
増田屋

<プロフィール>
増田屋
1935年創業の炭専門商社。火鉢やストーブなどの燃料問屋としてスタートして、茶道に使う「茶の湯炭(くぬぎ炭)」の商社としての地位を築く。現在は、人と環境にやさしい炭を暮らしに取り入れてもらうため、燃料から炭グッズ、茶道の炭まで幅広い炭アイテムを展開している。
HP:https://www.masudaya.co.jp/index.html

昔は熱源として利用されていた「炭」。近年では、飲食店の炭焼きで見かけたり、アウトドアシーンで活用したりすることが多くなりました。

一般的によく見かける炭は、天然の樹木を材料とする「天然炭」と、樹皮やおがくずなどを材料とする「成形炭」の2種類に分けられます。

増田さん
「天然炭も炭化方法(炭の作り方)によって、『黒炭』と『白炭』に分けることができます。樹木を燃やすまでは同じ製法ですが、最終段階で窯口を土などで密閉して、空気の流入を止めて消火したものが黒炭です。一方、白炭は炭窯から火のついた状態で樹木を引き出し、消し粉と呼ばれる灰をかぶせて消火しています。白炭は、断面に割れ目が少なく、光沢があることが特徴です」

まだ水道インフラが整っていない時代、川の水を浄化するために砂利や黒炭が使われていました。しかし、水道水が一般的になり、浄水すべき成分が塩素などの化学物質に変化。これらの不純物のろ過に適しているのは、白炭なんだそう。

増田さん
「炭にはさまざまな種類がありますが、水道水のろ過には白炭の中でも、樫(かし)の木を材料とした『備長炭』がオススメです。最近は、飲料水専用の備長炭も販売されていますよ」

水道水の中に備長炭を入れることで、どんな変化が起こるのでしょうか?

増田さん
「備長炭には、マクロなものからミクロなものまで無数の孔(あな)が空いています。水道水の中に備長炭を入れると、この孔たちがフィルターのような役割を果たし、水道水に含まれる塩素(カルキ)や不純物を吸着してくれます。

気になるニオイやピリピリとした舌触りがなくなり、口当たりがまろやかな水に。さらに、備長炭に含まれるマグネシウムやカリウムなどが水の中に溶け出すので、弱アルカリ性のミネラルウォーターが完成します」

ここからは、水道水に備長炭を入れる正しい手順をご紹介します。

炭の表面についた汚れを、タワシと流水でしっかり落とす。洗剤は使用しない。

鍋に炭とたっぷりの水を入れてお湯を沸かす。沸騰したら弱火にして、10分ほどそのまま煮沸・消毒する。

ザルなどに取り出し、水気を切って冷ます。

水道水を入れたピッチャーに、3の備長炭を入れる。水1 ℓに対して、炭100g(直径約2cm×長さ約10cmを1本)が目安。

増田さん
「ろ過に4〜5時間ほどかかるため、その間ピッチャーは冷蔵庫に入れておきましょう。冷蔵庫に保管して、持ち歩く際には保冷機能が高い水筒に入れて、早めに飲み切ってください。お茶やコーヒーをはじめ、炊飯やお味噌汁などの料理などにも幅広くお使いいただけます」

ちなみに、水出しの飲料を作る際に備長炭と茶葉を同時に入れてしまうと、備長炭の孔が茶葉の成分まで吸着してしまいます。ろ過した水を作ってから、炭を取り出し、茶葉を入れるようにしましょう。

増田さん
「備長炭はピッチャーに入れたままで問題ありません。また、不純物を吸着した備長炭は煮沸することで再度リセットすることができます。2〜3回ほど使用したら、さきほどの手順1からお手入れしてください。

ただし、繰り返し使うほどに不純物の吸着効果が落ちて、ミネラル成分も減っていきます。使用頻度・条件にもよりますが、約1〜2ヶ月で新しい備長炭に交換しましょう」

使い終わった備長炭は、以下のように再利用できます。

備長炭は、水中の不純物だけでなく空気中のニオイも吸着します。天日干しした備長炭を冷蔵庫に入れておけば、ニオイ取りとして再利用できます。

備長炭の材料は樫の木なので、砕いて、土壌改良の肥料として使うことができます。家庭菜園をされている場合は、普段ご利用の肥料に混ぜて使えます。

「家庭ごみにする際には、燃えるごみとして出しましょう。備長炭は天然素材なので、地球環境にも優しく再利用できます。国産の炭を使うことで、日本の森林を守ることにもつながります」と、増田さん。

水道水をろ過してくれる、備長炭。ペットボトルの水の購入を見直したいと考えている人や、おいしい水を楽しみたいと考えている方は、ぜひ暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。

執筆:つるたちかこ
イラスト:すぎやままり
編集:ノオト

この記事をシェアする

Facebook X LINE

サーモスWEBマガジン おすすめの商品