さっぱりおいしい! 夏野菜を使った自家製「水キムチ」の作り方
たっぷりの漬け汁に野菜が泳ぐ、涼しげな「水キムチ」。辛味は少なく、漬け汁ごと楽しめることから“飲むキムチ”と呼ばれることも。一度作ればやみつきになる自家製「水キムチ」の作り方を料理家・夏井景子さんに聞きました。
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夏井景子
なつい・けいこ
料理家。板前の父と料理好きの母の影響で料理の道へ。「日々のごはんがちょっとした工夫で美味しくなって明日の活力になりますように」をコンセプトに、季節の献立作りやキムチ作りの教室を主宰。雑誌へのレシピ提供や商品開発などを行う。著書に『“メモみたいなレシピ”で作る家庭料理のレシピ帖』(主婦と生活社)など。
Instagram:@natsuikeiko
おいしくてヘルシー、そして作り置きすれば長く楽しめる発酵食品、キムチ。手作りしてみたいけど、時間も手間もかかるからちょっと手を出せない……と思ったことはありませんか? そんな人におすすめなのが、誰でも手軽に作れる「水キムチ」!
おいしいのはもちろんのこと、発酵にかかる時間は1日程度と短く、手順もカンタンだから初心者でも失敗知らず。冷蔵庫に入れれば、1週間ほど保存できます。
漬け汁には非常に多くの乳酸菌が含まれていて、腸活や夏バテ対策にもぴったり。日本ではあまり知られていませんが、韓国では7〜8世紀頃からこの水キムチが食べられていたそう。実は、赤いキムチよりも先に生まれたんだとか。王様の朝食に供されてもいたそうですよ。
おいしくて体に良い「水キムチ」の作り方を、料理家の夏井景子さんに教えてもらいました。
漬け汁も一緒にいただける水キムチは、たくさんの乳酸菌を効率よく摂取できるんですよ。漬ける野菜は、1種類でも複数でもOK! ピクルスにできる野菜ならどれでもおいしく仕上がります。今回は彩りのいい夏野菜を選びました。
- ■パプリカ 2個
- ■キュウリ 1本
- ■大根 1/8本
- ■ニラ 2本
- ■ミョウガ 1個
- ■唐辛子 1/2本
- ■ニンニク 適量
- ■ショウガ 適量
(■は合計で300g)
- 米のとぎ汁 300ml
- 昆布 適量
- 塩 9g
- 砂糖 6g
使う野菜はお好みで。野菜の重さ(g)ととぎ汁(ml)は同量にします。今回は700mlの容器に入れるので、野菜の重さ=300g・とぎ汁=300mlとしました。とぎ汁は無洗米のものでもOK。1回目のとぎ汁は、埃などが含まれるので捨てます。2回目以降のものを使用してくださいね。とぎ汁がなければ飲料水でも代用できますよ。
【1】米のとぎ汁を鍋に入れて沸とうさせる。アクが出たら取り、一煮立ちしたところで火を止め、人肌の温度まで冷ます。
【2】各野菜を一口サイズに切る。
野菜はどんな切り方でもOK。5mm〜1cmの厚みを残しておくと、パリパリとした漬物らしい食感に仕上がります。
【3】スケールで塩を計る。【野菜の重さ(今回は300g)×3%】で、9gの塩を使う。
【4】ボウルの中で塩と野菜を混ぜ合わせ、そのまま20分間置く。
塩は野菜の重量の3%を揉み込みます。夏の暑い時期の日持ちを考えて、今回は塩分をやや濃い目にしました。塩は、ミネラル豊富な粗塩などがおすすめ。20分は、野菜から水が出るまでの目安時間です。多少オーバーしても大丈夫なので、しっかりと水気を出してくださいね。
【5】野菜から出た水を捨てる。
【6】砂糖【野菜の重さ(300g)×2%=6g】を計り、野菜と混ぜ合わせる。
砂糖は、野菜の量の2%を計ってください。甘味を入れると、味にぐっと深みが増すんですよ。本場・韓国ではリンゴなどで甘味を足すのが定番です。今回は砂糖で代用しました。
【7】野菜を保存容器に詰める。
【8】冷ましたとぎ汁を保存容器に注ぎ、昆布と唐辛子を入れる。
【9】野菜が空気に触れないよう、上からラップをかける。
容器の煮沸は不要です。上手に保存するコツは、漬け汁の上からぴったりとラップをかけておくこと。こうすることで漬け汁が酸化せず、色や香りが長持ちしますよ。ラップは、容器の外側にはみ出ると液漏れの原因になるので、必ず内側に折り込んでしまってください。
そのまま日陰に半日置いておけば完成! 寒い冬だと、1日ほど置けばちょうど良い発酵具合になりますよ。漬け汁にぷくぷくと泡が出てきたら食べ頃のサインです。あとは冷蔵庫で保存して、1週間ほどを目安に食べ切りましょう。
水キムチは日々発酵が進むので、味が変化していくのも楽しいところ。個人的には3日目あたりからが好みです。ニラやショウガなどの辛みが落ち着き、まろやかになっていきます。
元気な乳酸菌をたっぷりと含む水キムチは、冷蔵庫でひんやり冷やして、冷麺やそうめんといった麺類に添えたり、お茶漬けスタイルでサラサラといただいたりしても美味! 今回は、たった1分でできるアジ茶漬けをご紹介します。
- ごはん 1合
- アジの刺身 1パック
- 水キムチ 適量
- 水キムチのスープ 適量
- ごま 適量
【1】 ごはんを器に盛りつけ、アジの刺身と水キムチの具を乗せる。
使うお刺身は、赤身より白身、あるいは光りものの魚がおすすめ。ゴマ油をひと回ししたり、豆板醤などの調味料と組み合わせたりして”味変”しながらいただくのも楽しいですよ。
あっさり風味の水キムチは、どんな料理にも合うのが魅力。特に鶏肉や豚肉とは相性抜群。今回は、鶏とキャベツに添えて蒸し焼きにしました。食卓でおなじみの料理も、水キムチがあればひと味ちがう一品に早変わりです。
- 鶏もも肉 300g
- キャベツ 1/4個
- 水キムチの具 100g
- 水キムチのスープ 100ml
【1】 油を引いていないフライパンに、1cm幅でザク切りにしたキャベツ、皮目を上にした鶏もも肉、水キムチの具とスープを入れ、中火で加熱する。
【2】 ぐつぐつしてきたら、フタをして弱火に。鶏もも肉に火が通れば完成。
加熱することで、水キムチに含まれる乳酸菌は残念ながら死んでしまいます。それでも、腸内の善玉菌の餌にはなるとされているので、加熱後も体に良い効能を期待できますよ。水キムチのスープには鶏の肉汁やキャベツの水気も溶けこんでいるので、旨みや栄養も増しておいしくなります!
できたてアツアツの鶏の蒸し焼きをほおばった夏井さん、お味はいかがですか?
うん、おいしい! 水キムチは野菜を気軽に摂れるところ、スープ感覚で食べられるところがやっぱり魅力ですよね。乳酸菌パワーで腸内環境も整うし、汗をかく時期の塩分補給にも最適。夏バテ対策にもぴったりです。冷蔵庫にある余った野菜などをパッと漬けて、ぜひ日々の食卓に取り入れてみてください
続いて、編集部メンバーは「アジの刺身と水キムチのさらさら茶漬け」を一口。さまざまな野菜の旨みが溶け出した漬け汁をダイレクトに味わえて、とってもおいしい! アジとの相性も抜群で、食欲が湧かない暑い夏でもさらっといただけそうです。
使える野菜も自由自在で、漬けた翌日には食べ頃になる水キムチ。今日から気軽に作れそうですね。最後に、今回使用したサーモスの保存容器「Myフードコンテナー」の使い心地を教えてください。
器の間口が広くて、食材を入れやすいですね。フタに付いているパッキンも良い仕事をしています。パッキンの利点は液漏れしにくいこと。本体の作りも頑丈で、とっても使いやすかったです。
冷蔵庫の余った野菜がおいしくヘルシーに変身する水キムチ。うれしい夏の常備菜、ぜひおうちでお試しください。
執筆:矢口あやは
撮影:小野奈那子
編集:ノオト
矢口 あやは
やぐち・あやは
ライター・編集・イラストレーター。大阪府生まれ。トラベル、アウトドア、サイエンスなどのジャンルで、雑誌やWEB、広告などを中心に活動。ヨットが好きで2020年に一級船舶免許を取得。
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