身体をあたためるといいことがいっぱい! 温活マスター石原新菜先生に聞く、冬の水分補給のコツ

寒い日々が続き、つい水分補給を怠りがちに。そんな冬こそ、「温飲活」で体内から身体を温めることが大事だと、医師の石原新菜先生は話します。「温飲活」って何? はたまたその効果は? 石原先生に身体を温める水分補給のポイントや、おすすめのホットドリンクレシピを教わりつつ、「温飲活」の魅力を伺いました。

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石原新菜

石原新菜

いしはら・にいな

イシハラクリニック副院長、ヒポクラティック・サナトリウム副施設長、健康ソムリエ講師。
1980年 長崎市生まれ。幼少期をスイスで過ごし、帰国後は伊豆の緑豊かな環境に育つ。現在は父の経営するクリニックで漢方薬処方を中心とする診療を行うかたわら、テレビ・ラジオへの出演や、執筆、講演活動なども積極的に行い、「腹巻」や「生姜」などによる美容と健康増進の効果を広めることに尽力している。2児の母。

エアコンやストーブなど暖房の影響で、室内の乾燥が気になる冬。夏ほど水分補給を意識しにくい季節がゆえ、お肌や体内の乾きを感じることもしばしば。

実際、サーモスが行った「冬の水分補給に関する調査」では、20代~50代男女の7割近くが1日1L以下の水分しか摂れていない ことがわかりました。

また、1日の水分摂取量が500ml以下と答えた人も、全体の37%にのぼりました。厚生労働省が推奨する1日当たりの水分摂取量は1.2L(※)。冬の時期は水分が足りてない人が多いようです。

※参照元:厚生労働省「健康のため水を飲もう」推進運動。体重60kgの場合、1日に推奨される飲み水からの水分摂取量は1.2L。

そうした結果を踏まえて、冬こそ水分補給を行い、体内の水分量を意識する必要があると石原先生はいいます。

石原先生
石原先生

体内の水分量が減少すると、主に3つの症状が起こりやすくなります。まず、ひとつめが「熱中症」。冬でも油断は禁物です。水分が減ると発汗量も減少して体温調節しづらくなるので、熱中症にかかりやすくなってしまうんです。

2つめは、血流が悪くなって血管の中を循環する免疫細胞の働きが悪くなること。そして3つめは、乾燥ですね。

とくに冬は室内外の空気が乾燥する季節。「乾燥性皮膚炎」が起こりやすくなるだけでなく、実は粘膜も乾燥してしまうんです。

粘膜にうるおいが足りないと、ウイルスや細菌などを排除する機能を持つ線毛や免疫組織(IgA 抗体)の働きが下がるため、風邪やインフルエンザなどの感染症を引き起こす原因にもなり得ます。

そんな冬だからこそ、こまめな水分補給を心がけ、水分不足にならないようにするのが大切だと話す石原先生。とはいえ、寒い日にたくさんの水分を摂るのはなかなか難しいのが正直なところ。

石原先生
石原先生

一気に水分を摂取すると、体内の塩分濃度が薄まり、低ナトリウム血症(水中毒)になってしまうこともありますし、そもそも寒い冬は水分を摂りにくいもの。

そこでおすすめしているのが、「温飲活」です。「温飲活」とは、温かい飲みものをこまめに摂ることで、身体を温めて免疫向上につなげること。

喉をうるおす程度の量をコンスタントに飲むのが大事なポイントです。サーモスが行った調査では、温かい飲みものを継続して飲むと、身体を温める効果があることもわかっています。

2023年5月サーモス株式会社実施『温飲料摂取時の生体信号測定』(監修:石原新菜医師)
<調査条件>湯温 70℃の飲料水を 10 分おきに 60 分後まで 50 ㎖ずつ摂取した場合と、常温の飲料水を10分おきに60分後まで50㎖ずつ摂取した場合の体温を測定。測定環境28℃の室温で、女性被験者3名の体温を測定。結果には個人差があります。

いつもの飲みものを温かいドリンクに変えて、ちょこちょこ飲むだけという「温飲活」。白湯に身近な食材をちょい足しするだけで、手軽に始められるそう。

石原先生
石原先生

白湯に、ビタミンやカリウム、ポリフェノールを含む「レモン」、もしくは身体を温めてくれる「はちみつ」や「黒糖」を入れるだけでOKです。それから、「生姜」「生姜+クミン」「シナモン」などを入れた「スパイス白湯」も、豊かな香りを感じられておいしいですよ。

一方、身体を冷やす飲みものには要注意とのこと。

石原先生
石原先生

コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインは、利尿作用や血管を収縮させる働きがあるため、身体の冷えにつながりやすいです。1〜2杯なら問題ないですが、1日中飲み続けるのは避けた方がいいでしょう。どうしてもコーヒーが飲みたい時は、シナモンをちょい足しするのもおすすめです。

香りや味変を楽しむことが、「温飲活」を続けるコツだと話す石原先生。ご本人も常飲しているという「温飲活」のドリンクレシピを2つ教えてもらいました。

「ハニージンジャーティー」(左)と「ジンジャーココア」(右)
  • 紅茶(ストレートティー)…400ml
  • はちみつ…大さじ1
  • 生姜パウダー…1g

(1)鍋で紅茶を温め、はちみつを入れてよく混ぜる。
(2)生姜パウダーを入れて混ぜたら出来上がり。

石原先生
石原先生

温飲活ドリンクのなかでも、特に私が毎日飲んでいるのがこの「ハニージンジャーティー」。朝作ってケータイマグなどに入れて持ち歩けば、温かい温度をキープしながら1日中楽しめます。

  • 水…400ml
  • ミルクココア…34g
  • はちみつ…大さじ1
  • 生姜パウダー…1g

(1)鍋でお湯を沸かし、弱火にしてミルクココアとはちみつを入れてよく混ぜる。
(2)生姜パウダーを入れて混ぜたら完成。

石原先生
石原先生

どちらのドリンクも、材料(はちみつや生姜パウダー、ミルクココア)は、お好みで調整してください。糖分が気になる場合は、はちみつを入れなくてもおいしく召し上がれますよ。

「ハニージンジャーティー」「ジンジャーココア」を実際にいただいてみると、どちらも飲んだそばから身体がじんわりとぽかぽかに。もちろん、味もおいしいので「温飲活」の常飲ドリンクとしてピッタリです。

「温飲活」が身体を温めるために大切なのだとわかったけれど、寒い冬でもやっぱりおいしいのがキンキンに冷えたビール。晩酌がやめられない人はどうしたら……?

石原先生
石原先生

私もお酒が大好きなので、その気持ちよくわかります(笑)! ビールは身体を冷やしてしまうのですが、やっぱりおいしいですよね。だから私は、ビールは1杯目だけにして、その後は赤ワインや焼酎のお湯割りなどに変えています。

赤ワインにシナモンをプラスしたり、身体を温めてくれるカカオがたっぷり入ったチョコレートや黒糖、ナッツなどをおつまみにしたりと、「温飲活」を取り入れつつ、晩酌を楽しんでいますよ。

お酒好きに朗報をいただいたところで、さらに気になるのが「温飲活」を始めてどのくらいで効果が感じられるのか、ということ。

石原先生
石原先生

「温飲活」に加えて、腹巻やお風呂、運動なども取り入れた患者さんのなかには、1か月で体温が0.5℃上がったという方もいます。感染症予防だけでなく、便秘や肩こり、頭痛などの症状にも変化がみられることがあります。まずは、温かい飲みものをこまめに飲む習慣から日常のルーティンに加えて、身体の変化を楽しんでみてください。

意外と手軽に取り入れられる「温飲活」。水分不足になりがちな冬は、魔法びんのボトルで温かいドリンクを持ち歩いて、こまめな水分補給を心がけてみて。

撮影:藤原葉子
編集:ノオト

船橋麻貴

船橋 麻貴

ふなばし・まき

雑誌やWEB、広告などで執筆中。生涯の目標に締切厳守を掲げるものの、いろいろ遅れがちな人生。特技は暴飲暴食と思いつき旅。焼き菓子&パン1年生。

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