災害時にも役立つ!ガス&電気の節約にもなるシャトルシェフの使い方
サッと加熱した鍋ごと保温し、余熱の力で食材に火を通す「真空保温調理器シャトルシェフ」。ガスや電気の節約にもつながるので、災害時にも役立ちます。今回はヘビーユーザーの料理家・神社あゆさんに、災害時のシャトルシェフ活用法を教えていただきました。
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神社あゆ
じんじゃ・あゆ
料理家
長野県在住、12、9、7、5、3歳の5児の母。身近な食材で作る簡単料理やお弁当、スイーツレシピを日々発信。節約や時短にもつながる内容が人気を呼び、企業のレシピ開発やテレビ出演、雑誌・Webインタビューなど多岐にわたって活躍中。近著に『リピート家族ごはん』(KADOKAWA)。
Instagram:@a.jinja
Nadia:https://oceans-nadia.com/user/893687/recipe
9月1日は防災の日。この機会に今一度、ご家庭について考えてみませんか?
例えば、長引く可能性がある災害の避難時、カセットコンロに使用するガスボンベはできるだけ節約したいですよね。
シャトルシェフは、短時間火にかけた調理鍋を保温容器で丸ごと保温し、余熱で食材に火を通す『保温調理』ができる調理器具です。
保温容器は加熱した後の熱を逃がさない真空断熱構造になっており、高い保温効果で温度をキープ!毎日の料理にはもちろん、電気やガスをできるだけ節約したい避難時にもおすすめなんです。
5人のお子さんを育てる神社さんは、シャトルシェフ愛用歴5年のヘビーユーザー。毎日のように活用するなかで、「シャトルシェフは災害時にも役立つ」と感じているそう。
私は長野県の奥まった地域に住んでいて、さらに保育園や習い事の送迎などで毎日バタバタ!買い物にもなかなか行けないので、普段から缶詰や乾物などのストック食材をたくさん活用しています。シャトルシェフは余熱で料理を仕上げてくれるので、災害時に貴重なガスボンベを必要最低限な分だけ使えば良いですし、保温で温かさが長く保てるのも魅力のひとつ。不安な時に温かい料理が食べられたら、つかの間でもホッとできるのではないでしょうか。
シャトルシェフはガスやIHなど、熱源を問わず使用できます。今回はガスや電気などライフラインが止まってしまった時のことを想定して、カセットコンロとガスボンベを用意しました。災害時にシャトルシェフをどう活用すればいいのか、神社さんに具体的な使い方を教えていただきました。
自宅でもよく耐熱ポリ袋に食材と調味料を入れ、シャトルシェフで複数料理の同時調理を駆使しています。調理鍋で短時間加熱すれば、あとは余熱で保温しておくだけで具材が食べ頃に。これって災害時でも役に立ちますよね。火を止めているのでその場を離れても安全ですし、ご飯とおかずを一度に作れるので、ガスボンベを使う時間も少なくて済みます。
シャトルシェフの調理鍋でお米とおかずを同時調理する場合、何分程度加熱する必要があるでしょうか。神社さんと一緒に調理をしながら試してみましょう。
この日作っていただくのは、「わかめスープの素でわかめご飯」「じゃがいもとサバ缶の味噌煮」「みかん寒天」の3品。デザート以外の2品はシャトルシェフでまとめて一度に調理します。
使用する調理道具はシャトルシェフ、カセットコンロとガスボンべ。食材は缶詰やインスタントスープ、根菜など日持ちするものが中心です。同時調理に使用するポリ袋は耐熱仕様のものを選びます。
3品のうち最初に作るのは、水の状態から調理する「みかん寒天」です。材料は「みかん缶詰」「砂糖」「寒天」のみ。いずれも長期保存できるものばかりです。「災害時でも、甘いデザートが食べられると気持ちがホッと落ち着きますよね」と神社さん。寒天は常温で固まるうえ、災害時に不足しがちな食物繊維も摂れます。
鍋底にポリ袋が直接触れると溶けたり破れたりしてしまうため、鍋底に耐熱皿を敷いて調理しましょう。また、調理中はポリ袋の耐熱温度を超えないように注意してくださいね。
耐熱ポリ袋にはシロップごとのみかん缶と、砂糖と寒天を入れて。袋の中の空気をなるべく抜いてから結ぶのがポイントだそう。調理鍋に水を半分ほど入れてカセットコンロを点火し、沸とうしてから2分加熱するだけでOK!
加熱中に寒天が沈む場合があるので、鍋から取り出したら袋の上から少し混ぜましょう。ボウルや容器に入れておくとキレイな形に固まるので、包丁で切り分けができますよ。
「みかん寒天」を作って温めたお湯をそのまま使い、主食と主菜を同時調理で作ります。「わかめご飯」の材料は無洗米とわかめスープの素のみ。サバの味噌煮缶を使う「じゃがいもとサバ缶の味噌煮」も材料は3つだけ。調味料の配合を難しく考えることなく作れます。
「災害時に食べるならどんなものがいいのだろう」と、消防士さんにお話を聞きに行ったんです。「白いご飯よりは味つきのものの方が少ない量でも満足感が得られる」との回答でした。今回の2品の味付けはインスタントスープやサバ缶におまかせ。限られた材料しかない災害時でも、味付けの失敗の心配なく作れますよ。
「わかめご飯」の方はご飯1合(約2人分)につき、わかめスープ1袋と水約220mlを耐熱ポリ袋に入れます。2合分を一度に袋に入れるとうまく火が通らず炊きムラができてしまうので、袋を2つに分けてくださいね。
「じゃがいもとサバ缶の味噌煮」も簡単!じゃがいも3個を食べやすい大きさに切り、汁ごとのサバの味噌煮缶と、塩小さじ1/2を耐熱ポリ袋に入れて同じように結ぶだけ。およそ4人分ができあがります。
水を入れたシャトルシェフの調理鍋の底に耐熱皿を敷き、材料を入れた耐熱ポリ袋を入れます。カセットコンロにのせて再沸とうさせてから、約5分加熱します。
「みかん寒天」を作る時に温めたお湯をそのまま使うので、水から加熱した時よりも早く沸きます。加熱が終わったら、調理鍋を保温容器に入れて約30分待てば完成!「じゃがいもとサバ缶の味噌煮」は、保温容器から取り出した後に袋の上から少しもむと、じゃがいもが崩れてホクホク感が増しますよ。
今回は神社さんに3品を作っていただきましたが、カセットコンロを使っていた時間は合計で20分程度。一般的な鍋の場合、ご飯を炊くだけで20分かかるので、ガスボンベの大幅な節約になりますね!
作った料理はシャトルシェフで8時間を目安に保温ができます。お昼に夜ご飯の分もまとめて作ったり、寝る前に作って温かい朝ご飯を食べたりもできますね。
同時調理をした後のシャトルシェフ。温度を測ってみると88℃を超えていました!熱を逃がさない構造になっているので、高い保温性があるんですね。
サーモスの調査結果によると、95℃前後のお湯をたっぷり入れてフタをしたシャトルシェフは、5時間後でも約70℃の湯温をキープしています。一般鍋では30℃前後まで下がっていたそうなので、シャトルシェフの保温性能の高さがうかがえます。
私も自宅で試作をしたときに確認してみたところ、6時間後でも熱いと感じるほどの湯温度でした。レトルト食品や缶コーヒーを温めたり、洗い物に使ったりと、災害時にお湯があるとできることが増えますよね。捨てずに活用しましょう!
今回、TikTokでライブ配信をしながらシャトルシェフで災害用レシピを作ってみたところ、視聴者の方から「災害時にも使えるなら買いたい」というコメントが多数あったんです。私もシャトルシェフ愛好家として、もっとたくさんの方にシャトルシェフの魅力を発信していきたいなと思っています。
9月は防災月間。シャトルシェフを「持っていない」という方も、「しまいこんだまま」という方も、ぜひこの機会に使ってみてはいかがでしょうか。
撮影:山下コウ太
編集:Nadia
執筆:田窪 綾
調理師免許を持つフリーライター。惣菜店やレストランで8年ほど勤務経験あり。食分野を中心に、Webや雑誌で取材やインタビュー記事作成などを行っている。
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